カットワーク

ウィキペディアから無料の百科事典

木綿製ペティコートの裾に施されたカットワーク。

カットワーク: cutwork)は布地に刺繍を施し、内側を切り抜いてレース模様を作る手法。布レースの一種であり[1]白糸刺繍とも呼ばれる[2]。立体感のある優美な装飾性があり[1][2]、洗濯がきくため実用品にもしばしば利用される[1]。具体的には、寝具などの室内装飾品、ブラウスワンピースなど服飾品の衿、袖、裾などに部分的に使われる[2]

土台となる布は、織り目がつんでほつれにくい、上質のオーガンジー木綿、薄手の毛織物が使われる[1]。刺繍は一般に白糸(場合によっては色糸[1])を使い、図柄の輪郭線をボタンホール・ステッチ、ブランケット・ステッチなどでかがる[3]。切り取る部分が大きい場合は、間に糸 (ブレード、braid)を渡すこともある[1]

7世紀にはすでにヨーロッパで高度な技法が見られ、僧服、ハンカチーフ、枕カバー、シーツなどで使われていた[1][2]。13世紀以降は特に発展し[2]、14世紀-16世紀にかけてヴェネツィア製の精巧なカットワークが宮廷服や僧服で愛用された[1]。16世紀にはニードルポイント・レースが生まれ、これが現代のレースの原型となった[1][2]。現代では家内工業で大量生産される[1]

日本には宣教師たちが明治初年にもたらし、上流家庭のクッション、テーブルクロスなどで使われた[1]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k 服装文化協会(編) 編『増補版 服装大百科事典』 下巻、文化出版局、2006年、148-149頁。ISBN 978-4579500970 
  2. ^ a b c d e f 加藤周一(編) 編『世界大百科事典』 5巻、平凡社、2007年、441頁。ISBN 978-4582034004 
  3. ^ 杉野芳子(編) 編『図解服飾用語事典』杉野学園ドレスメーカー学院出版局、2003年、142頁。ISBN 978-4834754148