シフォンケーキ
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シフォンケーキ(英語: chiffon cake)は、スポンジケーキの一種。
概要
[編集]1927年にアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスの一介の保険外交員で料理愛好家、ハリー・ベーカー(Harry Baker、1884年 - 1974年)によって、卵白のみを用いて作るエンゼルフードケーキを元に考案され、食感が絹織物のシフォンのように軽いことから名付けられた。ベーカーのシフォンケーキは、ハリウッドの芸能人のパーティやブラウン・ダービー・レストランから注文を受けるほどの人気を博した。ベーカーはレシピを公表しなかったため、その製法は長く謎とされていたが、1947年に自らの高齢などを理由としてレシピがゼネラルミルズ社に売却され[注釈 1]、長い間の謎とされてきた「生地に植物油(サラダ油)を加える」ということがこの時に明かされた。ゼネラルミルズ社が1950年に出版したレシピにはベーキングパウダーが入っていた[1]が、多量のよく泡立てた卵白(メレンゲ)が膨張剤として十分に作用するため、下記のようにベーキングパウダーを省略したレシピも多い。発表後にアメリカでは爆発的なブームとなったが、そのピークは10年ほどだった。
シフォンケーキ型 (Angel Food Cake Pan) を用いて中央に穴が空いた形に焼き上げるのが特徴であるが、この形は元々アメリカ発祥の菓子の1つでシフォンケーキ発想の元になった、ともいわれているエンゼルフードケーキのために作られたものである。
基本材料
[編集]ハリー・ベーカーのオリジナルレシピでは、メレンゲの安定剤として酒石酸[注釈 2]を少量使用する(卵白Mサイズ3個分に対して1.5g)[2]。
チョコレートシフォンの場合
[編集]- 鶏卵
- 小麦粉
- 砂糖
- サラダ油
- 水
- 食塩
- ココアパウダー
ココアパウダーは小麦粉と一緒にふるっておく。
作り方
[編集]基本
[編集]- 卵黄に砂糖を加えたものを湯煎しながらかき混ぜ、サラダ油を馴染ませながら入れ、水を入れる(一気に入れても良い)。そして小麦粉(主に薄力粉)とひとつまみの食塩を加え、粘り気が出ない程度にまんべんなくまぜる。
- 別のボウルで卵白に砂糖を少量入れて角が立つまで泡立て(目安はひっくり返しても落ちない程度)、先に用意した卵黄生地に3分の1ずつ分けて泡が消えないようにしながらまんべんなく混ぜ、専用の型(シフォンケーキ型)に入れる。オーブンに入れて160-180℃で約40分間焼き上げる。
- 焼きあがったら型を逆さにしてワインボトルなどに中央の穴を刺し込み、常温になるまで置いておく(逆さにしないと自重でしぼんでしまうことがある)、ケーキ用ナイフまたはスパチュラなどを使ってゆっくりと型から取り外す。
その他
[編集]- 卵白に酒石酸を入れる場合は、泡立てる前に添加する。
- その独特の食感のために生地がふくらんだ状態で冷ますので、型には油脂などを塗らない。型はアルミ製などで表面加工されていない方が生地が定着し、焼き上がり後にしぼみにくい。
- バターを使わないため、焼き上がり直後に卵の焼けた匂い(タンパク質の焼けた匂い)が強く出る場合もある。気になる場合は、冷蔵庫などに入れて半日以上置くとよい。
- 生地に刻んだ果物やクルミなどを加えたり、水の代わりに紅茶や抹茶、ジュースを用いたりすることで、好みの味をつけることができる。好みでホイップしたクリームを添え、食べる際に塗っても良い。
- あらかじめ生地に湯に溶かしたココアを垂らし、箸で1-2回かき混ぜてから型に入れて焼くと、マーブル模様に仕上がる。
- サラダ油については太白ごま油などで代用しても良い。
- 焼き上がりに上面が潰れることを「底上げ」と呼ぶ。
- 牛乳を入れると乳脂肪の成分でモチっとした食感となる。
- レモンなどの柑橘系フルーツを入れると軽い食感になる。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ Jean Anderson. The American Century Cookbook. Potter, 1997年。451頁
- ^ “ハリーの謎のシフォンケーキ|レシピ”. NHK「グレーテルのかまど」 (2014年4月18日). 2014年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年4月22日閲覧。