タリーズコーヒー
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種類 | 株式会社 |
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略称 | タリーズ |
本社所在地 | ワシントン州シアトル |
設立 | 1992年 |
事業内容 | コーヒーショップチェーン |
売上高 | 3600万ドル(2012年) |
従業員数 | 480人(2012年) |
関係する人物 | パトリック・デンプシー |
外部リンク | https://www.tullys.com/ |
タリーズコーヒー(Tully's Coffee Corporation)は、アメリカ・ワシントン州シアトルを本拠とする元コーヒーチェーン店。現在は市販コーヒーのブランド名としてのみ名前が残っている。
一時期はシアトル3大カフェチェーンに数えられていたが、2013年に倒産し売却され、2018年に店舗は閉鎖。
アメリカ国外では、ブランドライセンス供与の形で日本(1997年~)と韓国(2010年~)に出店。日本タリーズは米タリーズとは独立したライセンスとなっているため、現在も店舗営業を継続している。
概説
[編集]1992年に、シアトルで不動産会社を営むトム・タリー・オキーフ(英: Tom Tully O'Keefe)が開業。スターバックス(1971年創業)、シアトルズベストコーヒー(1968年創業、1971年シアトル進出)と比べ後発ではあるが、シアトル3大カフェチェーンとされ、日本ではシアトル系御三家とも呼ばれた(日本でも3大コーヒーチェーン店ではあるが、シアトルズベストではなくドトールとなる)。
当初からスターバックスと同じことをしようという名目のもとでオープンしたコーヒーショップであり、対立するスターバックスに隣接して店舗を開く拡大戦略をとっていたことでよく知られる。当初はシアトルの本社施設もスターバックス本社と向かい合わせに存在した(その後タリーズの本社が移転)。シアトルでは、「タリーズコーヒーを探す最も簡単な方法は、スターバックスの前に立ち、あたりを見回すことだ」というジョークがよく言われる。そうした攻めの姿勢により業績を拡大し、アメリカ西海岸を中心に約200店舗を構え、2006年に初の純益を計上した。同様にライバル関係であったシアトルズベストコーヒーが2003年にスターバックス傘下に入ったことで、全米第2位の売り上げを誇るチェーンとなった。
しかし2007年の株式市場の暴落により新規株式公開の計画が打ち切られ、2009年にコーヒー豆卸売流通事業、ブランド、焙煎事業をGreen Mountain Coffee Roasters(現キューリグ・ドクターペッパー)に売却することで一時的な利益を得る[1]も、2012年10月に連邦倒産法第11章を申請し事実上の倒産。2013年1月4日の競売の結果、弁護士マイケル・アヴェナッティが設立した投資グループGlobalBaristasとパートナーシップを結んだ米俳優のパトリック・デンプシーが47店舗を920万ドルで落札した。デンプシーはアメリカのドラマ「グレイズ・アナトミー」のデレク・シェパード医師役で知られており、同ドラマの舞台であるシアトルを第2の故郷のように思っているため、タリーズコーヒーの名前と従業員を守るために入札したという。だがその直後に、アヴェナッティが十分な資金を提供していなかったという理由でデンプシーは撤退、アヴェナッティに対して訴訟を起こした。その後タリーズ店舗は12店舗がかろうじて営業していたが、2018年3月にコーヒー不足を理由として一時的な店舗閉鎖を発表。同年9月に正式に閉鎖された。現在はキューリグの販売するコーヒーのブランド名として名前が残っている。
なお、日本におけるタリーズコーヒーは、タリーズコーヒージャパンが、2005年にライセンス権をアメリカ法人から買い取り、以後アメリカ法人とは独立していたため、アメリカ法人倒産の影響を受けなかった。
日本におけるタリーズコーヒー
[編集]創業社長の松田公太がシアトルのローカルコーヒー店(当時5店舗)の「タリーズ」と出会い、日本での営業権を交渉した。1997年1月にタリーズコーヒーの日本での1年間の独占契約権を得て、8月7日に東京都中央区銀座にタリーズコーヒー1号店を開業した。
松田自身が店長としてほぼ毎日、早朝から夜中まで店頭に立ち、銀座店を軌道に乗せる。
1998年5月にタリーズコーヒージャパン株式会社を設立し、松田が代表取締役社長に就任。
2001年にナスダック・ジャパンに株式を上場し、2002年に持株会社体制に移行しフードエックス・グローブ株式会社に商号変更した上で会社分割でタリーズコーヒージャパン株式会社(2代目)を新設、2004年にフードエックス・グローブをMBOにより非上場化。
2005年8月にTully's Coffee Corporation(米)から日本における「Tully’s」商標権を完全取得。
2006年に320店舗を達成し、日本におけるスペシャルティコーヒーチェーン2位に成長。フードエックス・グローブ株式会社を伊藤園に譲渡。[2]
2008年にフードエックス・グローブ株式会社と子会社であるタリーズコーヒージャパン株式会社(2代目)が合併、商号を元に戻し現在のタリーズコーヒージャパン株式会社となる。
特徴
[編集]日本で女性を主要顧客とする[注 1]スターバックスより、コーヒーの味覚にこだわりが強い25歳以上の客層を想定し[3]、内装はクレマと称するエスプレッソ表面の泡のような色に壁面を統一してカントリー風の椅子を組み合わせるなどの工夫をしている。知名度向上のため創業直後の1997年11月にインパクトのある緑色のストローを導入したところ、直後にスターバックスも同色のストローを採用するなど、イメージ戦略で両社は競合している。タリーズもスターバックスの20円値引きと同様に、タンブラーやマグを持参すると30円値引きしている。タリーズが販売するタンブラーやマグ以外を用いても、同様のサービスが受けられる[4]。
使用するコーヒー豆は高品質のアラビカ種のみで、一杯一杯手動マシンを使用して「スペシャルティ」にこだわる、アイスクリーム、食事メニュー、期間限定メニューなどの豊富さを特徴とする。社会貢献のために2003年から絵本作品を毎年募集し、優秀な作品を本にして店舗内で販売している。
全店が完全禁煙制のスターバックスと異なり、喫煙席を備える店舗がある。喫煙席は「喫茶店で喫煙する日本的な文化」を尊重し、コーヒーの香りや居心地に影響しないように完全分煙され、喫煙者用にガラスで仕切られた小部屋が用意されている。
日本のほとんどの店舗で公衆無線LANサービスのアクセスポイントを設置し[注 2]、自社フリーWi-Fiのtullys_Wi-Fi、NTTドコモのd Wi-Fi、auのau Wi-Fi SPOT、ソフトバンクのソフトバンクWi-Fiスポット、NTT東日本・NTT西日本のフレッツスポット、およびNTTコミュニケーションズのホットスポットが利用可能である。
2013年4月よりプリペイドカード「タリーズカード」による支払いが可能になった[5]。
店舗数・出店方針
[編集]日本ではドトール・スターバックスとこのタリーズとで「日本3大コーヒーチェーン店」と称されている。ただし、2023年10月時点で全47都道府県に店舗を構えているのはスターバックスとタリーズのみである(ドトールも一時期は全都道府県に店舗があったが、滋賀県より事実上の撤退をしたため、再度空白県が生じている)。
2006年4月3日に麻布十番店を開店して日本国内で300店舗となり、最後の進出県である鳥取県も2014年4月30日に全国で555店舗目となる鳥取大学医学部附属病院店を外来ホールに開店し、全都道府県に出店した[6]。
店舗数は2011年に410店だったのが、2016年に638店に至るまで年40~50店舗ベースで増加。以降は年20~30店舗ベースで増加を続け、2020年に747店となっている。[7]
コーヒーチェーン業界の先駆けとして取り組んだ病院内店舗は2004年4月に好仁会東大病院店がオープンし、現在も積極的に出店している[8]。自動車ショールームや旅行会社、証券会社など異業種店舗に「シナジー店舗」と称する共同店舗のほか企業内など特別な環境にも積極的に出店し、航空会社のスターフライヤーと提携して機内サービスのコーヒーを提供している。
2017年10月に紅茶メニューを拡充したコンセプトショップ「タリーズコーヒー &TEA」の1号店を横浜元町に、2号店を2018年5月に六本木に出店した。[9]
特徴的な店舗の例
[編集]- 自動車ショールーム
- 旅行会社
- 証券会社
- アイザワ証券本厚木店「Blue Trade Cafe」(撤退)
- 銀行
- 高知銀行南支店
- 一般企業
- 観光地
- 大学病院
- 筑波大学附属病院
- 千葉大学医学部附属病院(医学書販売店併設)
- 昭和大学病院(1階受付前)
- 信州大学医学部附属病院
- 鳥取大学医学部附属病院(病院図書館併設)
- 島根大学医学部附属病院
- 高知大学医学部附属病院
- 産業医科大学病院(レストラン併設)
- 埼玉医科大学病院
- 埼玉医科大学総合医療センター
- 熊本大学医学部附属病院
- 防衛医科大学校病院
- 順天堂大学医学部附属練馬病院
- 愛媛大学医学部附属病院
- 徳島大学病院
- 獨協医科大学病院
- 総合病院
- 旭川赤十字病院
- 市立釧路総合病院
- 岡山市立市民病院
- 千葉西総合病院
- 富山県立中央病院
- 広島市民病院(ローソン併設)
- 亀田総合病院(Kタワー1F)
- 松山赤十字病院
- 日本赤十字社和歌山医療センター
- 加古川中央市民病院
- 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院
- 中部国際医療センター
- 役所
- 東京都庁第二庁舎(都庁店)
- 議員会館
- 参議院議員会館地下1階
- 大学
- 研究所
- 理化学研究所和光キャンパス 脳科学総合研究センター中央棟
- 新聞社
- テレビ局
- 毎日放送本社ビル1階
- TNC放送会館1階
- 住友不動産六本木グランドタワー1階「ナナナリア」内(テレビ東京オフィシャルショップ併設)
- さっぽろ創世スクエア1階ロビー(北海道テレビ放送オフィシャルショップ併設)
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “Tully’s selling wholesale business to Green Mountain Coffee Roasters”. 2021年3月1日閲覧。
- ^ “M&Aニュース|M&Aキャピタルパートナーズ”. M&Aキャピタルパートナーズ. 2021年3月1日閲覧。
- ^ 「坂井直樹のデザイン経営談義」日経デザイン、2006年2月号、P.74-77、日経BP
- ^ “タンブラー/マグ割引|Find Your Tully's|TULLY'S COFFEE - タリーズコーヒー”. www.tullys.co.jp. 2021年3月1日閲覧。
- ^ “TULLY'S CARD|TULLY'S COFFEE - タリーズコーヒー”. www.tullys.co.jp. 2021年3月1日閲覧。
- ^ “タリーズコーヒー、全都道府県出店を達成”. 外食ドットビズ. 2021年3月1日閲覧。
- ^ “タリーズ 2020年4月期決算 新型コロナの影響大きく コーヒーチェーン業績比較”. コフィア<世界中のコーヒー情報・口コミサイト>. 2021年3月1日閲覧。
- ^ “タリーズの病院内出店、さらに拡大-医療現場に「癒しの空間」を”. 市ケ谷経済新聞. 2021年3月1日閲覧。
- ^ 「タリーズコーヒー &TEA」2号店が六本木に - 紅茶メニューを拡充、「ティースムージー」も新登場
関連文献
[編集]- 松田公太 『すべては一杯のコーヒーから』新潮社、2002年。ISBN 4-10-454601-1
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- タリーズコーヒー(米国法人)
- タリーズコーヒー(日本法人)
- タリーズコーヒージャパン株式会社 (@Tullys_jp) - X(旧Twitter)
- タリーズコーヒー / Tully's Coffee Japan (TullysCoffeeJapan) - Facebook
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