トム・デュムラン

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トム・デュムラン
Tom Dumoulin
個人情報
本名 トム・デュムラン
Tom Dumoulin
愛称 マーストリヒトの蝶
The Butterfly of Maastricht [1]
生年月日 (1990-11-11) 1990年11月11日(33歳)
国籍 オランダの旗 オランダ
身長 185cm
体重 69kg
チーム情報
所属 チーム・ユンボ・ヴィスマ
分野 ロードレース
役割 選手
特徴 TTスペシャリストオールラウンダー
アマ所属チーム
2010
パークホテル・ローディング
プロ所属チーム
2011
2012–2013
2014
2015–2016
2017–2019
2020-
ラボバンク・コンチネンタル
アルゴス・シマノ
チーム・ジャイアント=シマノ
ジャイアント=アルペシン
チーム・サンウェブ
チーム・ユンボ・ヴィスマ
グランツール最高成績
主要レース勝利
獲得メダル
オランダの旗 オランダ
男子 自転車競技
オリンピック
2016 リオデジャネイロ 個人タイムトライアル
2020 東京 個人タイムトライアル
世界選手権自転車競技大会
2017 ベルゲン 個人タイムトライアル
2017 ベルゲン チームタイムトライアル
2018 インスブルック 個人タイムトライアル
2018 インスブルック チームタイムトライアル
2014 ポンフェラーダ 個人タイムトライアル
最終更新日
2021年7月28日

トム・デュムラン(Tom Dumoulin、1990年11月11日 - )は、オランダマーストリヒト出身の自転車競技ロードレース)選手。

経歴[編集]

オランダ自転車の中心であるマーストリヒトで育ったが、自転車競技は十代の頃にはじめたばかりであった。自転車レースには成長と共に熱中していき、10代後半にはプロになることを望んだ。

2014年には才能を発揮し、強力なタイムトライアルの走力と、その力をロードレースにも転換することで大きな成果をすぐに挙げた。

また、その力が世界に通用することはすぐに証明され、オランダ選手権で優勝し、世界選手権では3位と成績を残した[2]

2015年、ブエルタ・ア・エスパーニャで総合系ライダーとしても才能を示した。山岳コースの第9ステージでクリス・フルームホアキン・ロドリゲスを破り、個人TTでの優勝も相まって総合優勝争いを演じ、最終的には総合6位となった。TTスペシャリストらしくマイペース走法を得意とし、クライマー達のアタックにも動じず常に一定ペースを刻む走り方が特徴[3]

2016年、ツール・ド・フランスのクイーンステージ、アンドラ・アルカリスの山を制し優勝。ブエルタ、ジロ、そしてツールの3つ連続するグランツールでステージ優勝を飾った初の選手として記録に名前を残す。[4]

2017年、ジロ・デ・イタリアでは第10ステージの個人タイムトライアルにて、総合優勝候補のナイロ・キンタナから3分弱のタイムを奪いマリアローザを着用[5]。続く、1級山岳オローパを山頂ゴールとする第14ステージでも優勝し、更にタイム差を広げたが[6]、第16ステージの1級山岳ウンブライルパスを前に胃腸の不調に対処したことによって集団から脱落し、2分以上を失ってしまう[7]。第19ステージでは山岳で失速し、キンタナマリアローザを奪われるが[8]、最終ステージの個人タイムトライアルにて逆転、オランダ人初の総合優勝を手にした[9]

また、世界選手権ITTで念願の優勝を果たした。

2018年はシーズン序盤こそ不振であったが、ジロ・デ・イタリアでは初日のタイムトライアルを制し、その後も絶好調のサイモン・イェーツに食らいつき総合2位を守り続けた。しかしサイモン・イェーツが大幅に遅れて総合首位に立てるチャンスが生まれた第19ステージではクリス・フルームの独走を阻止できず、フルームに総合首位を奪取される。第20ステージでデュムランは再三のアタックを仕掛けるがフルームには敵わず総合2位となり、連覇は叶わなかった。

ツール・ド・フランスでは序盤は堅実な走りに徹し、大会二週目のアルプス山脈三連戦の二日目、第11ステージで2位に入り総合でも3位に浮上。翌日の第12ステージも2位となり、第17ステージで総合2位クリス・フルームが遅れを喫したことによりタイム差を逆転、総合2位となると最終日前日の個人タイムトライアルでフルームを僅か1秒差で交わし優勝。自身初のツール総合表彰台に登壇した。オランダ人選手がツールで総合トップ3に入るのは1990年エリック・ブロイキンク以来28年ぶり。

2019年8月、8年間所属したチーム・サンウェブを離れ、オランダのチーム・ユンボ・ヴィスマに移籍することが発表された。デュムランはサンウェブと2021年末まで契約を残していたが、契約を解除しての移籍となる。契約期間は2020年から2022年末までの3年間。オランダが誇るグランツールレーサーがオランダのチームに加わる事になった。

2021年1月、「サイクリストとしての自分のあり方を見失ってしまった」として、無期限での活動休止を発表した[10]。6月のツール・ド・スイスでレース復帰。直後のオランダ選手権個人タイムトライアルで、復帰後初勝利を挙げた。

エピソード[編集]

土井雪広によれば、ココアが好きで、冷たいココア1リットルを一気飲みしお腹を壊したこともあったという。

2017年のジロ・デ・イタリア第16ステージでも胃腸不調により腹痛に襲われて道端で排泄するアクシデントに見舞われた。バイクを降りたデュムランがジャージを脱いでビブを下ろした瞬間に、カメラマンが察して場面を切り替えたため「そのシーン」が全世界に放送されることは無かった。 (当時総合順位1位にもかかわらず集団から孤立して走っていたため、オートバイのカメラが常にデュムランを撮影していた。)

2023年、ブエルタ・ア・エスパーニャで胃腸炎に悩んだヨナス・ヴィンゲゴーもレース中に道端で排泄を余儀なくされ、レース後インタビューで「I did a Dumoulin」(『デュムラン』した)と語った[11]

主な戦績[編集]

2010年[編集]

2011年[編集]

  • トリプティク・デ・モンセ・シャトー 総合優勝
  • ロイヤル・スミルデ・オリンピア・ツアー 総合3位
  • インターナショナル・テューリンゲン一周 総合3位
  • 世界選手権・U23個人タイムトライアル 8位

2012年[編集]

2013年[編集]

2014年[編集]

2015年[編集]

2016年[編集]

2017年[編集]

2018年[編集]

2021年[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Fretz, Caley (2015年9月1日). “Can Tom Dumoulin hang on?”. VeloNews (Competitor Group, Inc.). http://velonews.competitor.com/2015/09/news/can-tom-dumoulin-hang-on_383450 2015年9月9日閲覧. "The Butterfly of Maastricht, a nickname gained in his junior years and one he doesn't particularly like, will be flapping hard on Wednesday." 
  2. ^ About Tom
  3. ^ インデュラインの再来か?デュムランと言う男の凄みとは? - cyclingtime.com
  4. ^ アルカリスに激しく降った雹と雨 マイヨ・ジョーヌに攻撃を仕掛けなかったキンタナ
  5. ^ ジロ・デ・イタリア2017第10ステージ 個人TTでキンタナに3分近い差をつけたデュムランがマリアローザ獲得
  6. ^ ジロ・デ・イタリア2017第14ステージ キンタナの攻撃を封じたデュムランがオローパ山頂フィニッシュ制覇
  7. ^ ジロ・デ・イタリア2017第16ステージ 登りと下りで仕掛けたニーバリが最難関ステージ制覇 デュムランが辛くも首位守る
  8. ^ ジロ・デ・イタリア2017第19ステージ 山岳王ランダが念願の勝利 デュムラン失速によりマリアローザはキンタナの手に
  9. ^ ジロ・デ・イタリア2017第21ステージ 最終ミラノTTでファンエムデン勝利 2位のデュムランが逆転総合優勝を果たす
  10. ^ 「自分のあり方を見失ってしまった」 トム・デュムランが活動休止を発表”. cyclowired (2021年1月24日). 2021年2月11日閲覧。
  11. ^ 'I did a Dumoulin' – Jonas Vingegaard suffers through illness at Vuelta a España cyclingnews.com

参考文献[編集]