ブルー・スカイ (1926年の曲)
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「ブルー・スカイ」 (“Blue Skies”) は、アーヴィング・バーリンが1926年に書いたポピュラー音楽の歌曲。日本語では、「青空」ないし「ブルー・スカイズ」として言及されることもある。
経緯
[編集]この歌は、1926年に作曲されたが、これはロジャーズ・アンド・ハート[注 1]によるミュージカル『ベッツィ(Betsy)』の完成間際に追加されたものであった。このミュージカルは、39回しか公演されなかったが、「ブルー・スカイ」はたちまち人気となり、初演の夜には主演のベル・ベイカー が24回もこの曲へのアンコールを求められたほどであった[1]。最後の繰り返しのところで、ベイカーは歌詞を忘れてしまい、代わりに客席の最前列に座っていたバーリンを促して、そのままそこから歌わせたという[2]。
この曲は1927年に出版され、ベン・セルヴィン のレコードがチャートの首位に立った。同年、この曲はアル・ジョルスンが映画『ジャズ・シンガー』の中で歌ったことによって、トーキー映画に取り上げられた最初の歌のひとつとなった。この曲は、当時の大手から安売り店向けのレーベルに至るまで、あらゆるレコード会社で録音された。1935年にはベニー・グッドマンとその楽団がこの曲を録音した (Victor Scroll 25136)。1946年には、この曲から題名をとりビング・クロスビーやフレッド・アステアが主演した映画『Blue Skies』が公開され、ポップ・チャートではカウント・ベイシー盤が8位、ベニー・グッドマン盤が9位まで上昇した。この曲は、ジャンルの違いを超え、1978年にはウィリー・ネルソン盤がカントリー・ミュージックのチャートで首位となった。これ以前にも、1939年にムーン・マリカン 盤、1962年にジム・リーヴス 盤があり、この曲はウェスタン・スウィング やカントリー音楽においても既にスタンダード・ナンバーとなっていた。
1947年にセロニアス・モンクが作曲した「In Walked Bud」は、「ブルー・スカイ」のコードを替えたものを基にしている。
「ブルー・スカイ」は、「幸せの青い鳥」を喜びの象徴とする歌詞を盛り込んだ数多くの曲のひとつであり、次のような一節がある。
"Bluebirds singing a song -- Nothing but bluebirds all day long." 青い鳥が歌を歌っている - 紛いもなく青い鳥だけが一日中 |
日本語における曲名
[編集]この曲は、初期には「青空」という日本語題で日本に紹介されていた[注 2]。
1946年に制作された映画『ブルー・スカイ』が、1955年に日本でも公開された際には「ブルー・スカイ」という題名でこの曲が言及された[3]。
近年では、原題に準じて「ブルー・スカイズ」と表記する例もある[4]。
チャートの動き
[編集]ウィリー・ネルソン盤
[編集]チャート(1978年) | 最高位 |
---|---|
アメリカ合衆国 Billboard Hot Country Singles | 1 |
アメリカ合衆国 Billboard Adult Contemporary | 32 |
オーストラリア Kent Music Report | 53 |
カナダ RPM Country Tracks | 1 |
カナダ RPM Adult Contemporary Tracks | 4 |
ニュージーランド Singles Chart | 26 |
おもな録音など
[編集]- Imperial Dance Orchestra - Banner 1905; Matrix 6988=2=3(1926年12月10日録音)
- Irving Kaufman - Banner 1932-A; Matrix 7035(1927年1月6日録音)
- ジョセフィン・ベーカー - Odeon 166.042; Matrix Ki 1247-1(1927年1月12日録音)
- Ben Selvin(The Knickerbockers 名義)- Columbia-860D(1927年1月15日録音)
- Johnny Marvin and Ed Smalle - Victor 20457; Matrix BVE-37541(1927年1月17日録音)
- George Olsen and His Music - Victor 20455; Matrix BVE-37549(1927年1月19日録音)
- フリッツ・クライスラー - Victor 1233; Matrix BVE-38215(1927年3月17日録音)
- Whispering Jack Smith - HMV B2494; Matrix Bb11038-2(1927年6月17日録音)
- ベニー・グッドマンとその楽団(インストゥルメンタル:トランペット・ソロは バニー・ベリガン (Bunny Berigan):1935年)
- Maxine Sullivan(1937年)
- ベニー・グッドマン (The Famous 1938 Carnegie Hall Jazz Concert)
- Moon Mullican (1939年)
- Slam Stewart's Royal Rhythm Boys (S. Stewart vcl, b; Billy Moore vcl, g; Johnny Prince, p) - Decca 7759 (1939年)
- 再発盤:Chronological Classics CD 753 Slim Gaillard 1940–1942 に収録
- トミー・ドーシーとその楽団(ボーカルはフランク・シナトラ:1941年)
- ベティ・ハットン (1944年)
- ベン・ウェブスター (1944年)
- Maurice Rocco (1945年)
- カウント・ベイシーとその楽団(ボーカルはジミー・ラッシング:1946年)
- ビング・クロスビー(1946年)
- ベニー・グッドマンとその楽団(ボーカルはアート・ランド:1946年)
- フランク・シナトラ(1946年)
- Oscar Alemán(1947年)
- ジュディ・ガーランド(1948年)
- Donald Peers と2台のピアノ - 1949年6月13日にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで、「There's a Rainbow 'Round My Shoulder」や「If You Were the Only Girl in the World」に続くメドレーの最初の曲として演奏された。このメドレーは、EMIがHis Master's Voice レーベルから、カタログ番号 B-9792 で発売された。
- アート・テイタム(1949年)
- ダイナ・ワシントン(1954年)
- メル・トーメ(1954年)
- ドリス・デイ
- The McGuire Sisters(1957年)
- エラ・フィッツジェラルド(1958年)
- Della Reese(1960年)
- Freddy Cannon(1960年)
- Jim Reeves(1962年)
- ボビー・ダーリン(1962年)
- Johnny Rivers(1962年)
- ボビー・ヴィントン(1963年)
- Frank Ifield(1964年)
- Don Shirley - アルバム『Water Boy』に収録(1965年)
- Lainie Kazan - アルバム『Right Now!』に収録(1966年)
- ローズマリー・クルーニー - アルバム『Rosie Sings Bing』に収録(1978年)
- ウィリー・ネルソン - スタンダード曲を集めたアルバム『Stardust』に収録(1978年)
- キリ・テ・カナワ(1986年)
- カサンドラ・ウィルソン - アルバム『ブルー・スカイ』に収録(1988年)
- Nancy LaMott(1991年)
- ライル・ラヴェット(1994年)
- ドクター・ジョン - アルバム『アフターグロウ』に収録(1995年)
- Marina Lima(1995年)
- エヴァ・キャシディ(1996年)
- Lavay Smith & Her Red Hot Skillet Lickers(1996年)
- スウィングル・シンガーズ(1996年)
- Lea Delaria(1998年)
- グルーヴ・アルマダ(1999年)- タイトルは「Inside My Mind (Blue Skies)」
- マーキュリー・レヴ(2001年)
- フィオナ・アップルとブラッド・メルドー(2002年)- 未発表:Club Largoで演奏された。
- ブレント・スパイナー(2002年)- 映画『ネメシス/S.T.X (Star Trek Nemesis)』の中で、データ少佐として歌った。
- Steve March Tormé - アルバム『The Essence of Love』に収録(2003年)
- Curtis Stigers(2003年)
- カエターノ・ヴェローゾ - アルバム『異国の香り〜アメリカン・ソングス』に収録(2004年)
- ロバート・グラスパー(2004年)
- Debby Boone(2005年)
- ロッド・スチュワート - アルバム『ザ・グレイト・アメリカン・ソングブックVol.4』に収録(2005年)
- Lori Cullen(2006年)
- Deborah Cox(2007年)
- Diane Schuur(2008年)
- Barbara Ireland(2010年)
- Brandi Carlile(2012年)
この曲を取り上げたおもな映画
[編集]- ジャズ・シンガー、The Jazz Singer(1927年)
- 世紀の楽団、Alexander's Ragtime Band(1938年)
- ブルー・スカイ、Blue Skies(1946年)
- ホワイト・クリスマス、White Christmas(1954年)
- 摩天楼を夢みて、Glengarry Glen Ross(1992年)
- きっと忘れない、With Honors(1994年)
- Edge of Seventeen(1998年)
- パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー、Patch Adams(1998年)
- ネメシス/S.T.X、Star Trek Nemesis(2002年)
- アビエイター、The Aviator(2004年)
- ハリウッドランド、Hollywoodland(2006年)
- グッド・シェパード、The Good Shepherd(2006年)
- Harold & Kumar Escape from Guantanamo Bay(2008年)
- Kommissar LaBréa - Tod an der Bastille(2009年)
注釈
[編集]- ^ リチャード・ロジャーズとローレンツ・ハートの作曲・作詞コンビ。
- ^ 例えば、「青空」を題名とした、テイチクジャズオーケストラによるSP盤(テイチク N317)が存在する。
出典
[編集]- ^ Blue Skies at jazzstandards.com - 2009年3月19日閲覧
- ^ Laurence Bergreen, As Thousands Cheer: The Life of Irving Berlin, 1996, p. 277.
- ^ “[スクリーン]バーリンの歌曲映画 「ブルー・スカイ」パラマウント色彩”. 読売新聞・夕刊: p. 2. (1955年4月8日). "題名のブルー・スカイという曲は..." - ヨミダス歴史館にて閲覧
- ^ “ブルー・スカイズ(編曲:J. クラッシュ)”. Naxos Japan, Inc.. 2014年10月25日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Betsy 1926
- Irving Berlin’s Music in Films
- Time article on Irving Berlin
- An early electronic performance of "Blue Skies" realized on the RCA Mark II Electronic Sound Synthesizer
- Blue Skies, song (originally interpolated into the R.Rodgers musical “Betsy”) - オールミュージック
- Skies/ ブルー・スカイ - SecondHandSongs
- Blue Skies - Geniusの歌詞ページ
先代 "Talking in Your Sleep" Crystal Gayle | Billboard Hot Country Singles 首位シングル (ウィリー・ネルソン盤) 1978年9月2日 | 次代 "I've Always Been Crazy" Waylon Jennings |
先代 "Boogie Grass Band" Conway Twitty | RPM Country Tracks 首位シングル (ウィリー・ネルソン盤) 1978年9月23日 |