モーフィング
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モーフィング(morphing)とは、映画やアニメーションの中で使用されるSFXの1つで、コンピュータグラフィックスの手法の1つでもある。
ある物体から別の物体へと自然に変形する映像をみせる。これはオーバーラップを使った映像のすり替えとは異なり、変形していく間の映像をコンピュータによって補完して作成する。変身・変化を意味する単語「メタモルフォシス(metamorphosis)」の中間部分から命名されたという説と、move(移動)+morphology(形態) の合成語であるとする説がある。
『永遠に美しく…』でアカデミー視覚効果賞受賞したILMのダグ・スマイスらが映画『ウィロー』のために開発。『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』や『アビス』でも使われた。知名度を引き上げたのは1991年の映画『ターミネーター2』で、敵役の描写にこの技術が使用されて話題になった。同年にも、マイケル・ジャクソンの「Black Or White」のPVで使われ、実に5億人が見たという。
初期は、主に実写映像などの2次元素材において用いられたが、後に3DCGにおけるキャラクターの表情の制御にも用いられるようになった。例えば、あらかじめ普通の表情と笑顔との2つのモデルを作っておき、その中間の形状を自動生成することで、表情変化のアニメーションを作り出す事が出来る。また、大掛りな変形ばかりでなく『フォレスト・ガンプ/一期一会』の歴代大統領が喋る唇や爆撃シーンで疾走するスタントマンとトム・ハンクスのスムーズな交替、『メン・イン・ブラック』『ミッション:インポッシブル』といた、変装マスクの効果にも応用されるようになった。
音響面でも援用され、その場合はクロスシンセシスと呼ばれる技術が用いられる。ある楽器の特徴を持つ音色から別の音色へ、音響スペクトルの滑らかな推移を伴う連続した音響を、コンピュータによって合成する。このような音響技術の研究機関のひとつとして、IRCAMがある。
ポリゴンモデル
[編集]3次元コンピュータグラフィックスにおいて、頂点集合からなるポリゴンモデルではアニメーション手法としてモーフィングが用いられる。
ベースモデルから頂点構造を維持したまま変形したモデルを用意し、その変位を記録する。ベースモデルに時間に合わせてスケールさせた変位を足せば、ベースモデルから変位モデルへのアニメーションが実現できる。
ソフトウェア/ファイル形式 | 変位データ名称 | ウェイト範囲 |
---|---|---|
Blender | シェイプキー(shape keys)[1] | [-10, 10][2] |
Maya | ターゲットシェイプ(target shapes)[3] | [-2, 2][4] |
3ds Max | モーフターゲット(morph targets)[5] | |
.FBX | ターゲットシェイプ(target shapes)[6] | |
.glTF | モーフターゲット(morph targets)[7] | |
Unity | ブレンドシェイプ(BlendShapes)[8] | モデル側で定義[9] |
Unreal Engine | モーフターゲット(morph targets)[10] |
脚注
[編集]- ^ Shape keys are used to deform objects into new shapes for animation. In other terminology, shape keys may be called “morph targets” or “blend shapes”. Blender manual
- ^ Blender can extrapolate results when the Value goes lower than 0.0 or above 1.0. Blender Manual
- ^ 「ターゲット シェイプ」は、ターゲット オブジェクトから派生するシェイプであり...ベース シェイプからの頂点のオフセットが、各ターゲット シェイプに保存されます。Maya2020 manual
- ^ The slider specifies values from 0 to 1, but you can enter values from -2 to 2. Maya LEARN
- ^ Create starting and ending morph targets, and one or more intermediate targets. Morpher Modifier - 3ds Max Help
- ^ A blend shape deformer takes a base shape ... and blends it with other target shapes based on weight values. FbxBlendShape Class Reference - Autodesk FBX
- ^ A Morph Target is a morphable Mesh where primitives' attributes are obtained by adding the original attributes to a weighted sum of targets attributes. glTF 2.0 specification
- ^ Sets the weight of a BlendShape for this Renderer. ... how much the Mesh has been blended (or morphed) from its original shape to a target BlendShape (another Mesh containing the same topology, but with different vertex positions than the original). Unity2020.1 スクリプトリファレンス
- ^ The BlendShape weight range includes values between the minimum and the maximum weights defined in the model. Unity 2020.1 documentation
- ^ モーフ ターゲット は、何らかの方法で変形された特定のメッシュの頂点位置のスナップショットです。 ... Unreal Engine では、モーフ ターゲットをブレンドし、キャラクターの顔の表情を作ります。FBX モーフターゲットのパイプライン - Unreal Engine 4 ドキュメント