三笑亭夢楽

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三笑亭さんしょうてい 夢楽むらく
三笑亭(さんしょうてい) 夢楽(むらく)
プレイグラフ社『落語など』創刊号(1966年)より
本名 渋谷しぶや ひろし
生年月日 1925年1月5日
没年月日 (2005-10-28) 2005年10月28日(80歳没)
出身地 日本の旗 日本岐阜県岐阜市
日本の旗 日本東京都世田谷区
死没地 日本の旗 日本東京都豊島区
師匠 五代目古今亭今輔
八代目三笑亭可楽
弟子 九代目三笑亭可楽
三笑亭茶楽
三笑亭夢太朗
柳亭楽輔
名跡 1. 古今亭今夫
(1949年 - 1951年)
2. 三笑亭夢楽
(1951年 - 2005年)
出囃子 筑摩祭
活動期間 1949年 - 2005年
活動内容 古典落語
所属 日本芸術協会
落語芸術協会
公式サイト 三笑亭夢楽
主な作品
反魂香
富士詣り

三笑亭 夢楽(さんしょうてい むらく、1925年1月5日 - 2005年10月28日)は、岐阜県岐阜市出身[注 1]落語家。生前は落語芸術協会に所属。本名∶渋谷 滉。出囃子は『筑摩祭』。

来歴[編集]

錦城商業学校卒業。映画カメラマンの成島東一郎は中学時代の同級生。

幼少時代に馬賊に憧れていたことから、1942年より単身中国北京へ移住。敗戦後帰国し、農林省開拓局に入局。

永井荷風を通じて正岡容を知り、その紹介で、1949年3月に五代目古今亭今輔に入門する。前座名は「今夫」。しかし、当の本人は新作落語古典落語の概念をあまり知らずとりあえず今輔から提供を受けた新作の台本をやっていたが、ある日柳家金語楼から渡された新作の台本を「八っつぁん」「熊さん」に書き換えたことで今輔から叱責され古典路線に転向する。

1951年4月に新作中心の今輔門下から八代目三笑亭可楽門下へ円満移籍し、5月に二つ目に昇進して「夢楽」と改名。初代朝寝房夢羅久(笑語楼夢羅久)が一時名乗った「夢楽」[注 2]の名を二つ目の芸人が継ぐことに対し、当時の落語界では猛反発が起こった。しかし落語界の実力者であった五代目柳亭左楽の鶴の一声で襲名が許された。1958年9月、二代目桂伸治春風亭柳昇二代目桂小南三遊亭小圓馬四代目春風亭柳好と共に真打に昇進。

寄合酒』『三方一両損』『妾馬』などの長屋物を得意ネタとし、明るく軽妙で当意即妙な芸風から大喜利も得意とした。また、『お笑いタッグマッチ』(フジテレビ)、『ばつぐんジョッキー』(CBCラジオ)などのテレビ番組ラジオ番組にも出演し、人気を集めた。

2003年に寄席を引退[3]2005年10月28日肺不全のため東京都豊島区の病院で死去[2]。80歳没。生前最後の高座は2004年11月3日、お江戸上野広小路亭での「三方一両損」であった[4]。戒名は「笑林院夢楽日悠居士」[5]

芸歴[編集]

人物[編集]

  • 北京大学出身を自称した。
  • 中国に住んでいた経験から、海外での口演も積極的に行なった。
  • 喧嘩っ早いことで有名だった。
  • 異性関係などで数々の武勇伝を持つ。また、同性とも関係を持った。
  • 古典落語の探求にも熱心で、約20年間、古典落語の勉強会として「若手落語会」を主宰した。この若手落語会には、7代目(自称5代目)立川談志5代目三遊亭圓楽3代目古今亭志ん朝らが参加した。

主な演目[編集]

音源[編集]

  • NHK DVD 落語名作選集 三笑亭夢楽(DVD、UIBZ-5033)
  • なごやか寄席 初代 三笑亭夢楽(UICZ-4573、VODL-60892~894)
  • NHK落語名人選100 61・62 初代 三笑亭夢楽 「三方一両損」「三人旅」(POCS-25061、62)

弟子[編集]

直弟子[編集]

元弟子[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 落語芸術協会プロフィールでは東京都世田谷区出身[1]、四国新聞の訃報では東京都出身[2]となっている。
  2. ^ 朝寝房夢羅久(初代朝寝房むらく)は1803年初代三笑亭可楽に入門して「珍蝶亭夢楽」「新蝶亭夢楽」を名乗るが、師匠に無断で「三笑亭夢羅久」と改名したことで破門されて亭号を「朝寝房」に変え、のち「笑語楼夢羅久」となった。二代目が「朝寝坊むらく」として襲名以降、代々がこの表記の高座名を名乗る。三笑亭夢楽の名跡は亭号も異なることから、これら朝寝坊むらくの代数に含まず、本項目の夢楽は十代目と呼ばれることはない。

出典[編集]

  1. ^ 三笑亭夢楽”. 落語芸術協会. 2024年1月29日閲覧。
  2. ^ a b 三笑亭夢楽さん死去/落語家」『四国新聞社 SHIKOKU NEWS』、2005年10月28日。2024年1月26日閲覧。
  3. ^ 桂平治の噺の穴 第七十七回:”. bunji.cool.coocan.jp. 2020年6月30日閲覧。
  4. ^ 佐藤友美, ed (平成17年11月28日). 演芸界最新情報TOPICS 演芸界訃報相次ぐ. 東京かわら版 平成17年12月号. p. 31 
  5. ^ 『東京かわら版 平成18年11月号』東京かわら版、2006年10月28日、30頁。 

外部リンク[編集]