常盤流北条氏

常盤流北条氏
三つ鱗（みつうろこ）[1]
本姓	桓武平氏北条氏常盤流[1]
家祖	北条時茂[1]
種別	武家
出身地	相模国鎌倉郡常盤郷[1]
主な根拠地	相模国鎌倉郡常盤郷
凡例 / Category:日本の氏族

常盤流北条氏（ときわりゅうほうじょうし）は、桓武天皇の血をひく鎌倉時代の北条氏の分流。常盤家ともいう^[2]。鎌倉時代に嫡流以外の武士が、新しい名字を名乗ることは、よくあることだった^[3]。

祖は極楽寺流北条氏の北条重時と平基親の娘との間に生まれた三男北条時茂（ときもち/ときしげ）。極楽寺流は北条氏の一族では得宗家に次ぐ高い家格を有しており、連署や六波羅探題を務めた。時茂は屋敷を相模国鎌倉郡常盤郷（現・神奈川県鎌倉市）に構えたため「常盤殿」と呼ばれ、常盤を称した。同じ北条氏の一族である政村流北条氏も屋敷を常盤に構えており、政村流と常盤流の屋敷跡が国指定遺跡北条氏常盤亭跡となっている。

常盤は鎌倉の西藤沢方面から鎌倉に至る北西の入り口にあたる要地で、外部からの侵入に対する場所であった。北条泰時は執権となり鎌倉の街の内外を整備する際に、内は鶴岡八幡宮を中心とし、その前に延びる若宮大路を軸とした。外は朝比奈・小袋等の切通しを整備し、その内外に常盤流を含む極楽寺流北条氏や、金沢流北条氏、大仏流北条氏らの一族を配置して出入口を固めた。

常盤流北条氏は六波羅探題として長く在京し、公家文化に接する機会が多い環境にあったため和歌に優れており、時茂の歌は『続古今和歌集』に2首、『続拾遺和歌集』『続後撰和歌集』にそれぞれ1首、時範の歌は『続後撰和歌集』に2首、範貞の歌は『続千載和歌集』『続後拾遺和歌集』『風雅和歌集』にそれぞれ1首ずつ選首されている。また宇都宮景綱の私家集『沙弥蓮愉集』には、時範の鎌倉常盤山荘で花見会があり、そこで和歌を詠んだという詞書がある。

常盤流北条氏の被官も主家に劣らず教養を積んでいた。特に範貞の被官小串範秀は和歌に優れ、執権北条貞時が北条氏一門の家人は勅撰に入集すべきではないと定めたにも関わらず、『玉葉和歌集』の選者である京極為兼は免許を得て、範秀の和歌を入選させたほどであった。

• 北条時茂 - 常盤流祖。相模国鎌倉郡常盤郷に屋敷を構える。
• 北条時範 - 時茂の子。従五位上に叙位。備前守に就任。六波羅探題北方。
• 北条政茂 - 時茂の子。通称は四郎あるいは又四郎。
• 北条貞茂 - 時茂の子。
• 北条時茂の娘 - 足利家時の妻で貞氏の母。
• 北条範貞 - 時範の子。従五位下左近将監。越後守、駿河守。六波羅探題北方。新田義貞の鎌倉攻略に際して東勝寺で自害。
• 北条高範 - 時範の子。官途は修理亮。
• 北条重高 - 範貞の子。通称は越後三郎。
• 北条貞氏 -
• 常盤盛時 -
• 常盤時定 -

常盤流北條氏（常盤家）は「三つ鱗」「丸に三つ鱗」や「八角に三つ鱗」^[4]の家紋を使用する。

北条時茂の父の北条重時が残した『六波羅殿御家訓』『極楽寺殿御消息』がある。