方響

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方響
各種表記
繁体字 方響
簡体字 方响
拼音 fāngxiǎng
発音: ファンシアン
日本語読み: ほうきょう
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方響(ほうきょう)は、中国の伝統的な体鳴楽器である。編磬と同様の台に音高の異なる複数の長方形の鉄板を並べてぶらさげ、バチで叩くことによって旋律を奏でることができる。八音では「金」に属する。現代中国ではほとんど使われていない。韓国に伝播した。日本にも伝播したが滅んだ。

歴史[編集]

韓国の方響(国立国楽博物館

方響は北周の時代(6世紀後半)に存在し、16枚の鉄板から成り立っていたという[1]。また、南朝のの「銅磬」という楽器が方響の一種であったかもしれないともいう[2]

の燕楽でも方響は用いられた[3]。日本では吉備真備が735年に唐から持ち帰って聖武天皇に献上した楽器の中に方響がある[4]正倉院には鉄方響(てつのほうきょう)と称する方響に使われた鉄板9枚が現存し、1875年(明治8年)に作られた模造(復元)品を東京国立博物館が所蔵する[5]

でも燕楽で使われた[6][7]雅楽では使われなかったが、の雅楽の一種である丹陛楽では方響が使われている[8]

現在日本では、正倉院復元楽器としての方響が前述の1875年(明治8年)に作られたものをはじめ複数存在するが、方響の伝承曲は現存していないため、西洋音楽系の楽曲の編曲や現代音楽等に利用されている。

脚注[編集]

  1. ^ 陳暘『楽書』 巻125・方響https://archive.org/stream/06048606.cn#page/n108/mode/2up。"『大周正楽』載、西涼清楽方響、一架十六枚、具黄鍾・大呂二均声。"。 
  2. ^ 『旧唐書』音楽志二「梁有銅磬、蓋今方響之類。方響、以鉄為之。修八寸、広二寸、円上方下。架如磬而不設業、倚於架上以代鐘磬。人間所用者纔三四寸。」
  3. ^ 楊(1980) pp.254-255
  4. ^ 『続日本紀』天平七年夏四月「辛亥、入唐留学生従八位下下道朝臣真備献(中略)鉄如方響写律管声十二条。」
  5. ^ 西川明彦「《正倉院宝物関連資料紹介》東京国立博物館所蔵金工・刀剣模造品」『正倉院紀要』第33号、39頁、2011年https://shosoin.kunaicho.go.jp/api/bulletins/33/pdf/0333030062 
  6. ^ 楊(1980) p.414
  7. ^ 楊(1981) p.725
  8. ^ 楊(1981) p.1006

参考文献[編集]

  • 楊蔭瀏『中国古代音楽史稿』 上冊、人民音楽出版社、1980年。 
  • 楊蔭瀏『中国古代音楽史稿』 下冊、人民音楽出版社、1981年。 

関連項目[編集]