東京都知事

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東京都の旗 東京都
知事
Governor of Tokyo Metropolis
東京都章
東京都章
小池百合子
現職者
小池百合子(第21代)

就任日 2020年令和2年)7月31日
選出:2020年(令和2年)7月5日
地位東京都首長
種類知事
任命直接選挙
東京都知事選挙
任期4年(再任可)
根拠法令地方自治法
前身江戸府知事
東京府知事
東京市長
東京都長官
創設1947年昭和22年)5月3日
初代安井誠一郎
略称都知事
職務代行者東京都副知事
武市敬黒沼靖潮田勉宮坂学
ウェブサイト東京都 知事の部屋

東京都知事(とうきょうとちじ、: Governor of Tokyo Metropolis)は、日本東京都首長たる特別職地方公務員。略称は都知事。現任は小池百合子(在任: 2020年令和2年〉7月31日 - )。

第二次世界大戦中の1943年昭和18年)に、東京府東京市の統合によって誕生した東京都の首長職である東京都長官が設置され、戦争終結後の1947年(昭和22年)に地方自治法の施行により、現在の名称に変更された。

概説[編集]

東京都知事は東京都首長であり、東京都知事の立候補者の中から、東京都に住所を持つ有権者の投票により選出される。通常、自身の補佐役となる東京都副知事を選び任命する(定員4名)。権能については他の道府県知事の地位と職務と同様、広域行政と市町村の事務の一部を管掌している。

東京都の前身である東京府大阪府京都府と同格であったが、東京都はカナダの旧自治領であるトロント・ドミニオン(Toronto Dominion)に倣って制定され、地方自治法上は他のと同格でありつつも制度の運用面において特別な扱いを講じた自治体である。

東京市行政区は東京都の発足とともに東京都の行政区となるが、1947年(昭和22年)に22区、さらに23区に再編され、同年の地方自治法の施行により特別地方公共団体である東京特別区(通称:東京23区)となった。これにより制度上は「東京市」という名称で一体として統治される都市は消滅し、都市としての自治権は各区へ移管、委譲されたことになる。

1943年(昭和18年)- 1947年(昭和22年)の東京都制による東京都の首長は官選の東京都長官(親任官)であり、閣議に出席することもできた。現在でもその名残があり、知事の給与は国務大臣とほぼ同額である。ただし石原慎太郎の知事就任時から10%削減され、小池百合子の就任後は給与が半減し年収は全国の知事で最少となった[1]

東京都は日本の首都であり、人口規模・経済規模が最も大きく、その首長たる東京都知事は他の道府県知事に増して注視される存在であり、東京都知事の権限や政治的影響力は小国の国家元首に匹敵するともいわれる。全国47都道府県の知事で組織する団体である全国知事会においても特に発言力が強く、首相国務大臣と同様に警視庁警備部警護課SPによる警護が行われ、自宅と別荘には警備派出所が設置される[2]。他の国も同様で、例えばフランスでもパリ市長は特に大きな影響力を持っている。

定例記者会見

休日を除く毎週金曜日に、都知事の定例記者会見が行われており、記者から都政を中心として様々な質問が行われ、都知事がそれに即答する様子が公開されている。この模様は、東京都のウェブサイトや、東京都のテレビ局である東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)などで生放送されるほか、過去の分はインターネット上に公開されており視聴可能である[3][4]

補佐職[編集]

東京都顧問[編集]

東京都顧問の役割は都政運営のあり方について、助言・進言を行うとされ、知事からの相談その他必要に応じて、随時、助言・進言を行う。法的には地方公務員法第3条に規定されている「非常勤」の特別職。都政の基本的政策確立について広い見識と経験を有する者のうちから、知事が選任する。任期は1年以内。ただし再任を妨げない[5][6]

東京都参与[編集]

都政の様々な課題および知事からの相談その他必要に応じて、随時、助言・進言を行う。地方公務員法第3条に規定されている「非常勤」の特別職かつ7名まで、都政について高い見識を有する者のうちから、知事が選任する。任期は1年以内。ただし再任を妨げない[7][8]


東京都副知事[編集]

東京都副知事を参照

特別秘書[編集]

地方公務員法第3条第3項第4号の規定に基き、2名の秘書を登用している。

東京都知事表彰[編集]

名誉都民
社会文化の興隆に功績があった者に対し、その功績をたたえ、もって都民敬愛の対象として顕彰するため、名誉都民称号及び表彰記章として名誉都民章を贈る。
東京都栄誉賞
特に顕著な業績により、広く都民に敬愛され、社会に明るい夢と希望と活力を与え、東京都の名を高めた方に対して、その栄誉をたたえる
消防褒賞
地域住民の生命・財産の安全確保に従事している消防団及び消防団員の労苦に報いるため、消防団員として20年以上勤務した者で、特に消防業務の功績が顕著であり、消防団員の模範となる者を表彰するため、賞状並びに記念章を授与する。褒賞に記念章が伴うことから消防褒章とも通称される(正確な呼称ではなく国の栄典褒章とは異なる)。
東京都文化賞
廃止
都民文化栄誉章
廃止
東京都職員表彰
新しい研究や発明を行ったものや、成績が特に顕著なものなど、卓越した発想や努力によって都政に多大な貢献をした職員、職務の内外を問わず善行があった職員への表彰
東京スピリット賞
民間からの寄付により2001年度(平成13年度)より設置した制度で、抜群の功績をあげた事業や、他の職員の模範となる行為について、時期を失せず表彰することで職員の士気を高め、その功績を都庁内外に明らかにすることを目的とするもの
東京都青少年健全育成功労者等表彰
青少年の健全な育成に功労のあった者への表彰
消防功労章
消防職員として抜群の功労があり一般の模範となると認められる者に対して知事賞として消防功労章を贈る。
消防功績章
消防職員として特に著しい功労があると認められる者に知事賞として消防功績章を授与する。
部隊賞
東京消防庁の消防隊のうち、職務遂行上特に著しい功労があり、他の模範となると認められるとき授与する。

東京都知事一覧[編集]

江戸府知事 (1868)
写真 氏名 任期初日 任期終日 出身 期・備考
1 1 烏丸光徳 1868年7月13日
慶應4年5月24日)
1868年10月5日
(慶應4年8月20日
京都府 在任中に「東京府」に改正、東京府知事に移行
東京府知事 (1868-1943)
写真 氏名 任期初日 任期終日 出身 期・備考
1 1 烏丸光徳 1868年10月5日
(慶應4年8月20日)
1868年12月20日
明治元年11月7日
京都府 1期
2 2 大木喬任 1869年1月16日
(明治元年12月4日
1869年8月22日
(明治2年7月15日
佐賀県 1期
1869年6月24日(明治2年5月15日)まで
議政官参与兼任
退任日付けで東京府大参事
3 3 壬生基修 1869年11月6日
(明治2年10月3日
1871年9月7日
(明治4年7月23日
京都府 1期
4 4 由利公正 1871年9月7日
(明治4年7月23日)
1872年8月18日
(明治5年7月15日
福井県 1期
5 5 大久保一翁 1872年6月30日
(明治5年5月25日
1875年12月19日
(明治8年12月19日)
東京都 由利の免官に先立ち任命された
1期
6 6 楠本正隆 1875年(明治8年)12月19日 1877年(明治10年)1月22日 長崎県 権知事
内務大丞兼任
6 6 1877年(明治10年)1月22日 1879年(明治12年)12月12日 1期
7 7 松田道之 1879年(明治12年)12月12日 1882年(明治15年)7月6日 鳥取県 1期
8 8 芳川顯正 1882年(明治15年)7月19日 1885年(明治18年)6月13日 徳島県 1期
内務少輔兼任
9 9 渡邊洪基 1885年(明治18年)6月13日 1886年(明治19年)3月9日 福井県 1期
10 10 高崎五六 1886年(明治19年)3月9日 1890年(明治23年)5月19日 鹿児島県 1期
11 11 蜂須賀茂韶 1890年(明治23年)5月19日 1891年(明治24年)7月21日 徳島県 1期
12 12 富田鐵之助 1891年(明治24年)7月21日 1893年(明治26年)10月26日 宮城県 1期
13 13 三浦安 1893年(明治26年)10月26日 1896年(明治29年)3月14日 愛媛県 1期
14 14 久我通久 1896年(明治29年)3月14日 1897年(明治30年)10月12日 京都府 1期
15 15 岡部長職 1897年(明治30年)10月12日 1898年(明治31年)7月16日 大阪府 1期
16 16 肥塚龍 1898年(明治31年)7月16日 1898年(明治31年)11月12日 兵庫県 1期
17 17 千家尊福 1898年(明治31年)11月12日 1908年(明治41年)3月25日 島根県 1期
18 18 阿部浩 1908年(明治41年)3月28日 1912年(大正元年)12月30日 岩手県 1期
19 19 宗像政 1912年(大正元年)12月30日 1914年(大正3年)4月21日 熊本県 1期
20 20 久保田政周 1914年(大正3年)4月21日 1915年(大正4年)7月2日 東京都 1期
21 21 井上友一 1915年(大正4年)7月2日 1919年(大正8年)6月12日 石川県 1期
22 22 阿部浩 1919年(大正8年)6月20日 1921年(大正10年)5月27日 岩手県 2期
23 23 宇佐美勝夫 1921年(大正10年)5月27日 1925年(大正14年)9月16日 山形県 1期
24 24 平塚廣義 1925年(大正14年)9月16日 1929年(昭和4年)7月5日 山形県 1期
25 25 中川健藏 1929年(昭和4年)7月5日 1929年(昭和4年)10月9日 新潟県 1期
26 26 牛塚虎太郎 1929年(昭和4年)10月9日 1931年(昭和6年)12月18日 富山県 1期
27 27 長谷川久一 1931年(昭和6年)12月18日 1932年(昭和7年)1月12日 長崎県 1期
28 28 藤沼庄平 1932年(昭和7年)1月12日 1932年(昭和7年)5月27日 栃木県 1期
29 29 香坂昌康 1932年(昭和7年)5月27日 1935年(昭和10年)1月4日 山形県 1期
30 30 横山助成 1935年(昭和10年)1月15日 1937年(昭和12年)2月10日 秋田県 1期
31 31 館哲二 1937年(昭和12年)2月10日 1938年(昭和13年)6月24日 富山県 1期
32 32 岡田周造 1938年(昭和13年)6月24日 1941年(昭和16年)1月7日 栃木県 1期
33 33 川西實三 1941年(昭和16年)1月7日 1942年(昭和17年)1月9日 兵庫県 1期
34 34 松村光磨 1942年(昭和17年)1月9日 1943年(昭和18年)7月1日 佐賀県 1期
東京市長 (1889-1943)
写真 氏名 任期初日 任期終日 出身 期・備考
1889年(明治22年)5月1日 1898年(明治31年)10月1日 市制特例により市長を設置せず、
府知事が職務を執行。
1 1 松田秀雄 1898年(明治31年)10月6日 1903年(明治36年)6月15日 滋賀県 1期
2 2 尾崎行雄 1903年(明治36年)6月29日 1908年(明治41年)9月12日 神奈川県 1期、衆議院議員と兼任
3 3 1908年(明治41年)9月30日 1912年(明治45年)6月26日 2期、衆議院議員と兼任
4 4 阪谷芳郎 1912年(明治45年)7月12日 1915年(大正4年)2月25日 岡山県 1期
5 5 奥田義人 1915年(大正4年)6月15日 1917年(大正6年)8月21日 鳥取県 1期
6 6 田尻稻次郎 1918年(大正7年)4月5日 1920年(大正9年)11月27日 鹿児島県 1期
7 7 後藤新平 1920年(大正9年)12月17日 1923年(大正12年)4月27日 岩手県 1期
8 8 永田秀次郎 1923年(大正12年)5月29日 1924年(大正13年)9月8日 兵庫県 1期
9 9 中村是公 1924年(大正13年)10月8日 1926年(大正15年)6月8日 広島県 1期
10 10 伊澤多喜男 1926年(大正15年)7月16日 1926年(大正15年)10月23日 長野県 1期
11 11 西久保弘道 1926年(大正15年)10月29日 1927年(昭和2年)12月12日 千葉県 1期・互選
12 12 市来乙彦 1928年(昭和3年)1月7日 1929年(昭和4年)2月14日 鹿児島県 1期・互選
13 13 堀切善次郎 1929年(昭和4年)4月24日 1930年(昭和5年)5月12日 福島県 1期・互選
14 14 永田秀次郎 1930年(昭和5年)5月30日 1933年(昭和8年)1月25日 兵庫県 2期・互選
15 15 牛塚虎太郎 1933年(昭和8年)5月10日 1937年(昭和12年)5月9日 富山県 1期・互選、元府知事
16 16 小橋一太 1937年(昭和12年)6月28日 1939年(昭和14年)4月14日 熊本県 1期・互選
17 17 賴母木桂吉 1939年(昭和14年)4月24日 1940年(昭和15年)2月19日 広島県 1期・互選
18 18 大久保留次郎 1940年(昭和15年)5月12日 1942年(昭和17年)7月22日 茨城県 1期・互選
19 19 岸本綾夫 1942年(昭和17年)8月3日 1943年(昭和18年)6月30日 岡山県 1期・互選、陸軍大将
東京都長官 (1943-1947)
写真 氏名 任期初日 任期終日 出身 期・備考
1 1 大達茂雄 1943年(昭和18年)7月1日 1944年(昭和19年)7月22日 島根県 1期
2 2 西尾壽造 1944年(昭和19年)7月25日 1945年(昭和20年)8月23日 鳥取県 1期
関東信越地方総監を兼任
3 3 廣瀨久忠 1945年(昭和20年)8月23日 1946年(昭和21年)1月15日 山梨県 1期
関東信越地方総監を兼任(10月31日まで)
4 4 藤沼庄平 1946年(昭和21年)1月15日 1946年(昭和21年)6月8日 栃木県 通算2期
5 5 松井春生 1946年(昭和21年)6月8日 1946年(昭和21年)7月23日 三重県 1期
6 6 安井誠一郎 1946年(昭和21年)7月23日 1947年(昭和22年)3月13日 岡山県 官選1期
7 7 飯沼一省 1947年(昭和22年)3月13日 1947年(昭和22年)4月14日 福島県 1期
8 8 安井誠一郎 1947年(昭和22年)4月14日 1947年(昭和22年)5月3日 岡山県 公選1期
1947年5月3日の地方自治法施行により東京都知事に移行
東京都知事 (1947-)
写真 氏名 任期初日 任期終日 出身 期・備考
1 1 安井誠一郎 1947年(昭和22年)5月3日 1951年(昭和26年)5月2日 岡山県 公選1期・通算3期
2 2 1951年(昭和26年)5月3日 1955年(昭和30年)4月26日 公選2期・通算4期
3 3 1955年(昭和30年)4月27日 1959年(昭和34年)4月18日 公選3期・通算5期
4 4 東龍太郎 1959年(昭和34年)4月27日 1963年(昭和38年)4月22日 大阪府 1期
5 5 1963年(昭和38年)4月23日 1967年(昭和42年)4月22日 2期
6 6 美濃部亮吉 1967年(昭和42年)4月23日 1971年(昭和46年)4月22日 東京都文京区 1期・無所属
7 7 1971年(昭和46年)4月23日 1975年(昭和50年)4月22日 2期・無所属
8 8 1975年(昭和50年)4月23日 1979年(昭和54年)4月22日 3期・無所属
9 9 鈴木俊一 1979年(昭和54年)4月23日 1983年(昭和58年)4月22日 東京都昭島市 1期・無所属
10 10 1983年(昭和58年)4月23日 1987年(昭和62年)4月22日 2期・無所属
11 11 1987年(昭和62年)4月23日 1991年(平成3年)4月22日 3期・無所属
12 12 1991年(平成3年)4月23日 1995年(平成7年)4月22日 4期・無所属
13 13 青島幸男 1995年(平成7年)4月23日 1999年(平成11年)4月22日 東京都中央区 1期・無所属
14 14 石原慎太郎 1999年(平成11年)4月23日 2003年(平成15年)4月22日 兵庫県 1期・無所属
15 15 2003年(平成15年)4月23日 2007年(平成19年)4月22日 2期・無所属
16 16 2007年(平成19年)4月23日 2011年(平成23年)4月22日 3期・無所属
17 17 2011年(平成23年)4月23日 2012年(平成24年)10月31日 4期・無所属
18 18 猪瀨直樹 2012年(平成24年)12月18日 2013年(平成25年)12月24日 長野県 1期・無所属
19 19 舛添要一 2014年(平成26年)2月11日 2016年(平成28年)6月21日 福岡県 1期・無所属
20 20 小池百合子 2016年(平成28年)8月2日 2020年(令和2年)7月30日 兵庫県 1期・無所属
21 21 2020年(令和2年)7月31日 現職 2期・無所属

※1986年(昭和61年)までの就任者の氏名、任期初・終日(旧暦併記分は旧暦のみ)、出身地、期・備考(在任期数および所属政党を除く)は、『東京都職制沿革』による。

脚注[編集]

出典
  1. ^ 知事給与半減条例を可決 都議会委員会、13日成立へ 年収全国最少に
  2. ^ 都知事とは? 【政経電論】
  3. ^ 都知事定例会見
  4. ^ 知事の記者会見
  5. ^ https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/information/pdf/komon_kisoku.pdf
  6. ^ https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/information/komon.html
  7. ^ https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/information/pdf/sanyo_kisoku.pdf
  8. ^ https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/information/sanyo.html

関連項目[編集]

外部リンク[編集]