洞窟の比喩

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縛られ壁に向き合った人々は、影だけを見てそれを実体だと思い込んでいる。

洞窟の比喩(どうくつのひゆ)、あるいは、洞窟の寓話(どうくつのぐうわ、: allegory of the cave)は、古代ギリシアの哲学者プラトンが『国家』第7巻で用いた、「善のイデア」を説明するためのメタファー比喩)/アナロジー類比)/アレゴリー寓話)である。

内容としては、前段で述べられる「太陽の比喩」と「線分の比喩」を総合したもの。

『国家』第7巻の記述

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……地下の洞窟に住んでいる人々を想像してみよう。明かりに向かって洞窟の幅いっぱいの通路が入口まで達している。人々は、子どもの頃から手足も首も縛られていて動くことができず、ずっと洞窟の奥を見ながら、振り返ることもできない。入口のはるか上方に火が燃えていて、人々をうしろから照らしている。火と人々のあいだに道があり、道に沿って低い壁が作られている。……壁に沿って、いろんな種類の道具、木や石などで作られた人間や動物の像が、壁の上に差し上げられながら運ばれていく。運んでいく人々のなかには、声を出すものもいれば、黙っているものもいる。……

解説

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洞窟に住む縛られた人々が見ているのは「実体」の「影」であるが、それを実体だと思い込んでいる[1]。「実体」を運んで行く人々の声が洞窟の奥に反響して、この思い込みは確信に変わる。同じように、われわれが現実に見ているものは、イデアの「影」に過ぎないとプラトンは考える。

脚注

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  1. ^ ペーテル・エクベリ『おおきく考えよう 人生に役立つ哲学入門』晶文社、2017年、130頁。ISBN 978-4-7949-6975-0 

関連項目

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外部リンク

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