関係節

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関係節(かんけいせつ)・関係詞節(かんけいしせつ、: relative clause[1])とは、名詞を修飾する節のうち、被修飾名詞が修飾節の中で主語目的語など)や付加詞として働いているものであり、関係詞によって構成されている。関係節と被修飾名詞は全体として名詞句を構成し、被修飾名詞はその名詞句の主要部となる。

基本的な概念

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(1)    僧侶が筆で絵を描いた

たとえば、例(1)の節が表している出来事には、「僧侶・筆・絵」といった人や物が関わっている。僧侶は「描く人」、筆は「描く道具」、絵は「描かれる物」である。このうち、描く人や描かれる物のように、その出来事に不可欠なものを項、道具のように不可欠とは言えないものを付加詞という。

(2)  a.  筆で絵を描いた僧侶
(2)  b.  僧侶が絵を描いた
(2)  c.  僧侶が筆で描いた

例(2)の下線部が関係節である。(2a–c)の下線部は、それぞれ「僧侶・筆・絵」を修飾しており、また、「僧侶・筆・絵」は下線部の節の項や付加詞となっている。

これに対して、「僧侶が筆で絵を描いたという証拠」の下線部は、「証拠」を修飾しているが、関係節ではない。「証拠」は下線部の項や付加詞ではないからである。

(1)のような通常の節から(2)のような関係節を作ることを、関係節化(かんけいせつか、relativization)という。たとえば、(1)の「僧侶」を関係節化すると、(2a)の「筆で絵を書いた(僧侶)」という関係節ができる。同様に、(2b)は(1)の「筆」を、(2c)は「絵」を関係節化したものである。

関係節化される要素(被修飾名詞)は、その関係節を含む名詞句主要部となる。英語のように関係節が主要部に後置される言語では、関係節の主要部は先行詞(せんこうし、antecedent)とも呼ばれる。たとえば、 (3)では man が先行詞である。

(3)    the man [whom I saw yesterday]
「私が昨日見た男性」

関係節化の方法

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関係節化にはいくつかの方法があり、被修飾名詞(主要部)に当たる表現が元の節の中でにあるかどうか、あるとすればそれがどのように表現されるか、という観点から分類される。

たとえば日本語では、被修飾名詞に当たる表現はなく、元の節の中の空所として残るだけである。このような空所型(gapping-type)の言語の例として、韓国語がある[要検証]

(4)    韓国語
현식이 그 개를 때린 막대기
[Hyənsik-i  kɨ  kä-lɨl  ttäli-n]  maktäki 
ヒョンシク-NOM  その  犬-ACC  叩いた-REL  棒 
「ヒョンシクがその犬を叩いた棒」 [2]:151

また、英語などヨーロッパの言語に多く見られるのは、関係代名詞を用いる方法(関係代名詞型)である。関係代名詞は、被修飾名詞が関係節の中で担う役割(主語、目的語など)を表すと同時に、関係節の最初に置かれて接続詞の働きをする。たとえば(5)のロシア語の例では、関係代名詞 kotoruju対格であることから被修飾名詞の devuška「少女」が関係節の中では目的語になることが分かる。

(5)    ロシア語
девушка которую я видел
devuška,  [kotoruju  ja  videl] 
少女  誰-ACC  私  見た 
「私が見た少女」 [2]:149

以上のように被修飾名詞が節の外部に現れるタイプの関係節は主要部外在型関係節(externally headed relative clause)と呼ばれる一方、節がその内部に被修飾名詞を含んでいるものは主要部内在型関係節internally headed relative clause)と言われる[3]

被修飾名詞に当たる代名詞を関係節の中で用いる方法もある。このような方法は代名詞残留型(pronoun-retention type)と呼ばれ、たとえば、ペルシア語などに見られる。ペルシャ語では、主語と目的語以外の要素を関係節化する場合、代名詞残留型関係節となる。たとえば(6)の例では、被修飾名詞の zanirā「女性」に当たる代名詞 u「彼女」が関係節の中にあり、彼女がジャガイモを与えられた人であることを表している。

(6)    ペルシャ語
man  zanirā  [ke  Hasan  be  sibe zamini  dād]  mišenāsam 
私  女性.ACC  REL  ハサン  に  彼女  ジャガイモ  与えた  知っている.1SG 
「私はハサンがジャガイモをあげた女性を知っている」 [2]:148

脚注

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  1. ^ 田中秀毅「関係詞節と主節の論理関係について」広島女学院大学英語英米文学研究 = Studies in English language and literature (17) 2009.3,p.23-45.
  2. ^ a b c Comrie, Bernard (1989) Language universals and linguistic typology: syntax and morphology. 2nd edition. Chicago: University of Chicago Press.
  3. ^ Dryer 2013.

参考文献

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