国際戦略研究所

ウィキペディアから無料の百科事典

International Institute for Strategic Studies
略称 IISS
設立 1958年
種類 国際関係シンクタンク
本部 イギリスの旗 イギリス ロンドン
所長 ジョン・チップマン
ウェブサイト www.iiss.org
テンプレートを表示

国際戦略研究所、又は国際問題戦略研究所(こくさいせんりゃくけんきゅうじょ、:International Institute for Strategic Studies、略称:IISS)は、イギリスに本部を置く国際安全保障、地政学地経学サイバーセキュリティについて分析を行う民間研究機関(シンクタンク)。世界最大の軍事データベース「ミリタリーバランス」を発表している。

概要

[編集]

1958年に創設されて以来、IISSは世界の平和や安定を維持・発展させることを目指す政策を推奨し、世界有数の研究機関という評価を受けている。

1997年以降、本部はイギリス・ロンドンのアランデル・ハウスに、他シンガポールアメリカ合衆国ワシントンD.C.、バーレーンマナーマドイツベルリンにオフィスを置く。

研究プログラム

[編集]

研究は、五つのテーマと七つの地域に分かれる[1]

研究テーマ

[編集]
防衛・軍事アナリシス (Defence and Military Analysis)
軍事・安全保障政策と能力、軍事費、調達、産業、新技術の影響などについての研究。
サイバー・宇宙・未来の紛争(Cyber, Space and Future Conflict)
軍事・諜報において人工衛星ロボット工学人工知能ソーシャルメディアなどの情報通信技術の応用を分析。量子コンピュータ等の新技術に関しての研究。
地経学地政学戦略 (Geo-economics, Geopolitics and Strategy)
経済と地政学のグローバルな相互作用を分析し、 西洋から東洋への経済力の再分配についての調査研究。
紛争、安全と発展 (Conflict, Security and Development)
紛争及び不安定の原因並びに社会経済的影響を研究し、国際安全保障とグローバルな発展の因果関係について分析。
核拡散防止と核政策 (Non-Proliferation and Nuclear Policy)
核兵器ミサイル安全保障に関する討論を進め独創的な考えを導入。北朝鮮イランの核合意に関する研究。

研究地域

[編集]

アフリカアジア太平洋ヨーロッパ、ジャパン・チェア・プログラム、中東・湾流地域、南アジア、アメリカ外交・大西洋横断問題。

ジャパン・チェア・プログラム (Japan Chair Programme)
2019年に日本政府の支援で設立された研究プログラム。急速に変化する21世紀の地政学・地経学環境を踏まえた日本の国際戦略を、外交・安全保障、経済分野から検証する[2]

書籍

[編集]
  • ミリタリーバランス:1959年から毎年年末に出版される171カ国の軍事力と防衛経済年報アセスメント[3]
  • ミリタリーバランス・プラス:日々更新される171カ国、過去14年超の各国軍事全般をカバーするデジタルデータベース。
  • サバイバル:国際政治・戦略:国際問題ジャーナル(隔月発行)[4]
  • アデルフィ・シリーズ:(旧アデルフィ・ペーパーズ)1961年に初版出版、国際安全保障政策に関する研究論文シリーズ[5]
  • アームド・コンフリクト・サーベイ:紛争の政治的、軍事的、人道的側面にフォーカスした年次レビュー[6]
  • ストラテジック・コメント:国際政治及び軍事に関する分析。オンラインで発表[7]
  • ストラテジック・ドシェ:アジアの安全保障年次アセスメント(Asia-Pacific Regional Security Assessment 2021)[8]

国際会議

[編集]

毎年世界最大規模の安全保障会議、シャングリラ・ダイアローグとマナマ・ダイアローグを主催。

シャングリラ・ダイアローグは2002年から開催されているアジア安全保障会議。3日間の会議は、シンガポールシャングリ・ラ・ホテル・シンガポールで開催され、アジア太平洋地域と関係する国々の国防大臣などが、地域の課題や防衛協力などを議論する。

2004年設立のマナーマ・ダイアローグ(中東安全保障対話)はバーレーンのマナーマで開催される中東の安全保障を中心とした国際会議。

日本との関係

[編集]

日本は毎年、防衛大臣がシャングリラ・ダイアローグに参加している[9]

2013年には初めて日本から河野太郎外務大臣がマナーマ・ダイアローグに参加した[10]

2014年第13回シャングリラ・ダイアローグにおいて、安倍晋三総理大臣は「アジアの平和と繁栄よ永遠なれ」と題する基調講演をした[11]

脚注

[編集]
  1. ^ Our Research” (英語). IISS. 2021年8月11日閲覧。
  2. ^ Japan Chair Programme”. IISS. 2021年8月11日閲覧。
  3. ^ The Military Balance” (英語). IISS. 2021年8月11日閲覧。
  4. ^ Survival” (英語). IISS. 2021年8月11日閲覧。
  5. ^ The Adelphi Series” (英語). IISS. 2021年8月11日閲覧。
  6. ^ Armed Conflict Survey” (英語). IISS. 2021年8月11日閲覧。
  7. ^ Strategic Comments” (英語). IISS. 2021年8月11日閲覧。
  8. ^ Strategic Dossiers” (英語). IISS. 2021年8月11日閲覧。
  9. ^ 防衛省・自衛隊:英国国際戦略研究所が主催する国際会議”. www.mod.go.jp. 2021年8月11日閲覧。
  10. ^ 敬太郎, 大野 (2017年12月11日). “バーレーン出張(中東安全保障対話出席のため)”. 大野敬太郎オフィシャルサイト|自民党香川3区衆議院議員. 2021年8月11日閲覧。
  11. ^ 第13回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)安倍内閣総理大臣の基調講演”. Ministry of Foreign Affairs of Japan. 2021年8月11日閲覧。

外部リンク

[編集]