つみきのいえ

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つみきのいえ
La maison en petits cubes
監督 加藤久仁生
脚本 平田研也
製作 日下部雅謹
秦祐子
出演者 長澤まさみ
音楽 近藤研二
公開 日本の旗 2008年10月4日[1]
上映時間 12分3秒
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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つみきのいえ』(仏題La maison en petits cubes)は、2008年に発表された加藤久仁生監督による日本の短編アニメーション映画である。水に沈みゆく街にある積木を積み上げたかのような家で暮らす老人を通して、人生というものを象徴的に描く。

アカデミー短編アニメ賞を受賞した初の日本映画である[2]

概要[編集]

本作品は、加藤が描いた「幾重にも積み上げられた家」の絵を、脚本を務める平田に見せた事が製作のきっかけとなっている。世界観の面白さに興味を抱いた平田がストーリーラインを書き上げ、それに沿う形で制作が進められていった[3]

加藤は脚本家の平田研也より、地球温暖化が問題になっているのだからそれもアピールすべきというアドバイスを受けたが、加藤は、どんな過酷な環境にあっても、人は生きていかねばならない、という自らのイメージを貫いた[4]

加藤は主人公である老人の生活を淡々と描くことで、人生というものを象徴的に表現しようと思ったと語っており、見た人たちが人生の中で大切にしているものや過ぎ去ってしまったものに対してどのような姿勢をとるのか考えるきっかけになる作品にしたかったという[5]。老人の生活を淡々と描く、ということに重点を置いたため、背景的には表現しきれていない部分も多かったと振り返っているものの、老人の今までに積み重ねてきた人生が感じられるよう絵のタッチには陰影を強く出していたり、鉛筆の質感を生かすように回想のシーンが心情を表すように色合いに変化をつけるなどの様々なこだわりも見受けられる[3]

本作品はセリフが無く、映像とBGMのみによってストーリーは進んでいくが、日本語版では女優長澤まさみがナレーションを務めている。

あらすじ[編集]

海面が上昇したことで水没しつつある街に一人残り、まるで「積木」を積んだかのような家に暮らしている老人がいた。彼は海面が上昇するたびに、上へ上へと家を建て増しすることで難をしのぎつつも穏やかに暮らしていた。ある日、彼は海の水位が上昇し工事をしていたら工具を海中へと落としてしまう。工具を拾うために彼はダイビングスーツを着込んで海の中へと潜っていくが、その内に彼はかつて共に暮らしていた家族との思い出を回想していく。

スタッフ[編集]

キャスト[編集]

評価[編集]

受賞歴[編集]

関連作品・メディア[編集]

書籍[編集]

  • つみきのいえ白泉社、2008年10月16日、ISBN 978-4-59-276131-0
    アニメ本編を基に、監督の加藤と脚本の平田がリメイク・書き下ろしした絵本

DVD[編集]

  • pieces of love Vol.1 つみきのいえ
    ロボットと若手クリエイターのコラボレーションによって生み出されたショートストーリーシリーズ『pieces of love』の第一弾として、2008年10月24日に発売された。ナレーション有りバージョンとナレーション無しバージョンの二つのバージョンを収録しており、封入特典としてポストカード集がある。発売元はロボット、販売元は東宝

VOD(ビデオ・オン・デマンド)[編集]

脚注[編集]

  1. ^ TOHOシネマズ横浜・流山・名古屋・鳳・久山の5つの劇場で7日間の期間限定上映がなされた。
  2. ^ a b 外部リンクに映像
  3. ^ a b バラエティ・ジャパン (2009年2月12日). “『つみきのいえ』加藤久仁生監督「別世界を体感してこよう」(ウェブ魚拓)”. 2009年2月23日閲覧。
  4. ^ 加藤監督『つみきのいえ』が最高賞を受賞――アヌシー国際映画祭2008レポート
  5. ^ ROBOT Communications Inc. (2009年2月23日). “プレスリリース” (PDF). 2009年3月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年2月23日閲覧。
  6. ^ The Academy of Motion Picture Arts and Sciences (2009年). “NOMINEE LIST - SHORT FILM(ANIMATED)” (英語). 2009年2月23日閲覧。
  7. ^ アヌシー国際アニメーション映画祭 (2009年). “Le site officiel du Festival et du Marché international du film d'animation” (フランス語). 2009年2月23日閲覧。
  8. ^ 第12回広島国際アニメーションフェスティバル (2008年). “広島国際アニメーションフェスティバル|受賞作品発表”. 2009年2月23日閲覧。
  9. ^ 文化庁メディア芸術プラザ (2008年). “平成20年度(第12回)文化庁メディア芸術祭 受賞作品”. 2009年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年2月23日閲覧。

外部リンク[編集]