クルマバナ

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クルマバナ
福島県会津地方 2015年8月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : シソ類 lamiids
: シソ目 Lamiales
: シソ科 Lamiaceae
: トウバナ属 Clinopodium
: オキナワクルマバナ C. chinense
亜種 : クルマバナ
C. c. subsp. grandiflorum
学名
Clinopodium chinense (Benth.) Kuntze subsp. grandiflorum (Maxim.) H.Hara[1]
シノニム
  • Clinopodium urticifolium (Hance) C.Y.Wu et Hsuan[2]
和名
クルマバナ(車花)[3][4]

クルマバナ(車花、学名:Clinopodium chinense subsp. grandiflorum)は、シソ科トウバナ属多年草[3][4][5]

特徴[編集]

地下の根茎は短く横にはう。は直立し、高さは20-80cmになり、4角形でまばらに下向きの毛が生え、ふつう枝分かれする。は対生し、葉身は卵形から狭卵形で、長さ2-4cm、幅1-2.5cm、葉先は鋭頭で基部はまるく、5-15mmになる葉柄があり、縁に鋸歯がある[3][4][5]

花期は8-9月。茎先に花穂をつけ、数段離れて車状に仮輪をつける。仮輪の下につく小苞は線形で、小花柄より長く長さ5-8mmになり、開出する長い毛がある。は筒状2唇形で、長さ6-8mmになり、紅紫色を帯びることが多く、上唇は3裂、下唇は2裂し、開出する長い毛があって裂片は細長くとがる。花冠は紅紫色で、長さ6-10mm、上唇は小型で浅く2裂し、下唇は大型で深く3裂し、花冠外側に細かい毛が生え、花冠内側に赤い斑点がある。雄蕊は4個のうち下側の2個は少し長い。果実は4個の分果で、やや扁平な球形になり、長さは約1mmになる[3][4][5]

分布と生育環境[編集]

日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、山野の道ばたなどの草地に生育する[5]。世界では、中国大陸北部、朝鮮半島、ロシア沿海州の温帯から暖帯に分布する[4]

名前の由来[編集]

和名のクルマバナは、「車花」の意で、仮輪が車状につく様子による[4]

ギャラリー[編集]

分類[編集]

  • オキナワクルマバナ Clinopodium chinense (Benth.) Kuntze subsp. chinense[6] - 分類上の基本種。全体に毛が密生し、茎の基部がはう。琉球、中国大陸に分布する[5]
  • ヤマクルマバナ Clinopodium chinense (Benth.) Kuntze var. shibetchense (H.Lév.) Koidz.[7] - 茎は斜上し、萼は紅紫色を帯びず、毛が多くときに腺毛もある。花冠は淡紅紫色を帯びた白色で長さ6-8mm。山地の谷間に生育する[5]
  • アオミヤマトウバナ[5]Clinopodium chinense (Benth.) Kuntze grandiflorum (Maxim.) H.Hara[8] - 植物体全体に毛が少なく、小苞も短い。花冠は白色、ときにわずかに紅紫色を帯びることがある。本州、九州、朝鮮半島に分布する[5]

脚注[編集]

  1. ^ クルマバナ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ クルマバナ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ a b c d 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.430
  4. ^ a b c d e f 『新牧野日本植物圖鑑』p.650
  5. ^ a b c d e f g h 『日本の野生植物 草本III 合弁花類』p.86
  6. ^ オキナワクルマバナ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  7. ^ ヤマクルマバナ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  8. ^ Clinopodium chinense var. grandiflorum, The Plant List.

 

参考文献[編集]