ケプラー442b

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ケプラー442b
Kepler-442b
ケプラー442bと地球(想像図)
ケプラー442bと地球(想像図)
星座 こと座
分類 太陽系外惑星
発見
発見年 2015年1月6日(公表)[1]
発見者 Torres ら[2]
発見場所 ケプラー宇宙望遠鏡
発見方法 トランジット法
現況 公表
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 0.409+0.209
−0.060
au[2]
離心率 (e) > 0.04+0.08
−0.04
[2]
公転周期 (P) 112.3053+0.0024
−0.0028
[2]
軌道傾斜角 (i) 89.94+0.06
−0.12
°[2]
ケプラー442の惑星
位置
赤経 (RA, α)  19h 01m 27.98s
赤緯 (Dec, δ) +39° 16′ 48.3″
距離 1115+62
−72
光年
(342+19
−22
pc[2])
物理的性質
半径 1.34+0.11
−0.18
R[2]
質量 2.3+5.9
−1.3
M[3]
平衡温度 233 K[3]
他のカタログでの名称
KOI-4742.01, KOI-4742b, WISE J190127.98+391648.2b, KIC-4138008b, 2MASS J19012797+3916482b
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ケプラー442b英語: Kepler-442b)は、地球から約1100光年(342パーセク)離れていて、地球からはこと座にあるK型主系列星[4]ケプラー442を周回する太陽系外惑星である[5][1]地球に近いサイズの惑星であり、主星のハビタブルゾーン(生命が存在する可能性がある領域)内に存在すると考えられている[1]。この惑星はNASAのケプラー宇宙望遠鏡で恒星が惑星の通過によりわずかに暗くなることで惑星の存在を間接的に確認するトランジット法を用いて発見された。NASAはこれを2015年1月6日に公表した[1]

特徴

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質量・半径・温度

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大きさの比較
地球 ケプラー442b
地球 Exoplanet

ケプラー442bは地球の1.34倍の半径を持ち、6割から7割の確率で岩石で構成された岩石惑星[6]、地球よりも大きく、天王星海王星よりも小さいスーパー・アースと考えられている。平衡温度は233 Kである[3]。質量は推定で2.3 M[3]。表面の重力はもし組成が地球と同じなら地球の重力の30%強いと考えられている[注 1]

恒星

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この惑星はスペクトル型Kのケプラー442の周囲を公転している。質量は0.61 M、半径は0.60 R[2]太陽よりも小さい。温度は4402 K、年齢は29億歳であり、太陽と比べると温度は低く(太陽は5778 K[7])、年齢も若い(太陽は46億歳[8])。恒星の金属量は-0.37[2]と低く、太陽の42%に相当する。光度は0.12 L[2]で太陽と比べて暗い。視等級は14.976[2]で肉眼では見えない。

軌道

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主星のケプラー442から0.409 au離れた軌道を112.3日で公転している[2]。この軌道はケプラー442から0.274 auから0.681 au[9]離れた位置に広がるハビタブルゾーンの中間に位置する。そのため、表面温度は地球とほぼ同じと推定されており、表面には液体生命が存在できるかもしれない。惑星の受ける光度は地球が太陽から受ける光度の約70%に相当する[2]

居住性

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ケプラーが発見した、ハビタブルゾーンに位置する地球型惑星
(2015年1月6日時点)[1]

この惑星は惑星の表面上で液体の水が存在できるゾーン、ハビタブルゾーンにある惑星として公表された。また、サイズや温度などは地球と似ている[5][1]。また、この惑星は自転と公転の同期が起こるとされるゾーン(約0.02 au)の外側にあり、潮汐ロックが起こっていない[9]。2018年7月時点では潮汐ロックを受けておらず、居住に最適な惑星とされている[10]

K型主系列星の恒星は太陽よりも小さいが寿命は長く、太陽の寿命が100億年であるのに対して150億年から300億年である[11]。しかしスペクトル型MやKの恒星は恒星活動初期に激しい恒星風を放出するため生物に害を及ぼすこともある[12]。恒星風を放出する期間は恒星のサイズによって変わる[13]。しかし、年齢が不確定なため恒星風を放出する段階は終えており、現在は居住に最適とする意見もある。惑星は恒星に近いため潮汐力の影響を受け、1日が1週間や1ヶ月単位に及ぶと考えられている。

この惑星の赤道傾斜角はとても小さく、地球や火星のような傾きに起因する季節はない。また、軌道離心率もほぼ0であるため、離心率を起因とする季節もないと考えられている[14]

2015年の論文ではケプラー442bはケプラー186fケプラー62fとともに居住に最適な太陽系外惑星として結論づけられた。また、2015年に提案された居住性を表す指数では地球は0.829であるのに対し、ケプラー442bはそれよりも高い0.836に位置づけられた[15]。これは大気の状況などが不明なためである。

居住可能性

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ケプラー442bは居住するのに適した太陽系外惑星の中で最も居住可能性が高いSuperhabitable Planet(英語版)になる可能性がある。基準に当てはまる内容は

  • 恒星がK型主系列星である(K型主系列星が恒星の場合、居住に適することが多い)
  • 半径が地球の1.34倍で、質量が地球の2.34倍である(Superhabitable Planetは半径が1.3倍で質量が2倍である)
  • ハビタブルゾーンの中心にある

の3点である。しかし、基準にあてはまらない内容もあり、

  • 年齢が若すぎる(この惑星は20億歳だが理想は45億 - 70億歳)
  • 温度が低すぎる(平衡温度から表面温度の推定は-2.65℃とされており、理想は25℃付近である)

などである。加えて下記の条件はまだ当てはまるかすら分かっていない。

  • 海をもつかどうか(Superhabitable Planetは浅い海がある)
  • 大気の状況(Superhabitable Planetは大気が地球よりも厚く、酸素濃度が高い)

発見とその後の調査

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2009年、NASAのケプラー宇宙望遠鏡は恒星面のトランジットを検出する光度計の運用を終了した。最終調査においてはKepler Input Catalog(KIC)に登録された50000もの恒星が観測され、その中にはケプラー442も入っていた。系外惑星の候補がある恒星の観測は2009年5月13日から2012年3月17日まで行われた。ケプラー442系の惑星のトランジットの観測が終了した後、現在のケプラー442bによるトランジットは113日ごとに起こっていることが発覚し、最終的に系外惑星であると結論づけられた。この発見はケプラー438ケプラー440の惑星とともに2015年1月6日に公表された[2]

ケプラー442bは1100光年離れた惑星であるため現代の技術でも次世代の技術でも質量や大気の状況を特定するのは非常に困難である。

しかし、探査機ケプラーは特定の地域しか探査を行っていないため、次世代のTESSCHEOPSなどによる全方向への探査に期待がかかっている。

その他、始動がまもなくやって来るジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡や地上の望遠鏡による大気の分析・質量の特定・組成の推定も将来行われる。また、スクエア・キロメートル・アレイはこれまでのアレシボ天文台グリーンバンク望遠鏡を超え、電波観測を行うと考えられている[16]

脚注

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注釈

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  1. ^ G...6.67×10−11N・m2/kg2、M...2.3M=1.37×1025kg、R...1.34R=8.55×106m
    重力g=GM÷R2よりg=12.5
    地球の重力は9.8より12.5÷9.8=1.28。よって30%ほど重力が大きい。

出典

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  1. ^ a b c d e f NASA's Kepler Marks 1,000th Exoplanet Discovery, Uncovers More Small Worlds in Habitable Zones”. NASA (2015年1月6日). 2020年4月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月29日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n Torres, Guillermo et al. (2015). “Validation of Twelve Small Kepler Transiting Planets in the Habitable Zone”. The Astrophysical Journal 800 (2): 24. arXiv:1501.01101. doi:10.1088/0004-637X/800/2/99. 
  3. ^ a b c d The Habitable Exoplanets Catalog - Planetary Habitability Laboratory @ UPR Arecibo”. 2018年2月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月29日閲覧。
  4. ^ Gilster, Paul (2015年1月6日). “AAS: 8 New Planets in Habitable Zone”. Centauri-dreams.org. 2019年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月29日閲覧。
  5. ^ a b Sample, Ian (2015年1月7日). “Kepler 438b: Most Earth-like planet ever discovered could be home for alien life”. The Guardian. オリジナルの2020年2月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200215030434/https://www.theguardian.com/science/2015/jan/06/earth-like-planet-alien-life-kepler-438b 2020年4月29日閲覧。 
  6. ^ ハビタブルゾーンの系外惑星を8個発見”. AstroArts (2015年1月1日). 2018年9月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月29日閲覧。
  7. ^ Fraser Cain (2008年9月15日). “Temperature of the Sun”. Universe Today. 2020年4月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月29日閲覧。
  8. ^ Fraser Cain (2008年9月16日). “How Old is the Sun?”. Universe Today. 2020年3月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月29日閲覧。
  9. ^ a b Planetary Habitability Laboratory - Graphical Catalog Results”. プエルトリコ大学アレシボ校(Planetary Habitability Laboratory). 2020年4月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月29日閲覧。
  10. ^ HEC: Data of Potentially Habitable Worlds - Planetary Habitability Laboratory @ UPR Arecibo”. phl.upr.edu. 2020年4月29日閲覧。
  11. ^ Fraser Cain (2009年2月4日). “Star Main Sequence”. Universe Today. 2019年12月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月29日閲覧。
  12. ^ Charles Q. Choi (2012年2月23日). “Red Dwarf Stars May Be Best Chance for Habitable Alien Planets”. Space.com. 2020年3月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月29日閲覧。
  13. ^ Michael Schirber (2009年4月9日). “Can Life Thrive Around a Red Dwarf Star?”. Space.com. 2020年4月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月29日閲覧。
  14. ^ Paul Gilster, Andrew LePage (2015年1月30日). “A Review of the Best Habitable Planet Candidates”. Centauri Dreams, Tau Zero Foundation. 2019年12月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月29日閲覧。
  15. ^ K. G. Orphanides (2015年10月7日). “Kepler-442b is more habitable than Earth”. 2019年3月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月29日閲覧。
  16. ^ Siemion, Andrew P.V.; Demorest, Paul; Korpela, Eric; Maddalena, Ron J.; Werthimer, Dan; Cobb, Jeff; Langston, Glen; Lebofsky, Matt et al. (2013年2月3日). “A 1.1 to 1.9 GHz SETI Survey of the Kepler Field: I. A Search for Narrow-band Emission from Select Targets”. Astrophysical Journal 767 (1): 94. arXiv:1302.0845. Bibcode2013ApJ...767...94S. doi:10.1088/0004-637X/767/1/94. 

関連項目

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外部リンク

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