シェイクスピアの文句を題名にした作品一覧
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シェイクスピアの文句を題名にした作品一覧は、ウィリアム・シェイクスピア作の戯曲や詩の文句(フレーズ)から題名をつけられた(もじり、パロディを含む)小説・戯曲・詩・映画・テレビ・楽曲・漫画などの作品の一覧である。(日本語訳はすべて坪内逍遥)。
ロミオとジュリエット
[編集]- O, swear not by the moon, the inconstant moon,
That monthly changes in her circled orb,
おゝ、廻る夜毎に位置の変わる不貞節な月なんぞを誓言(せいごん)にお懸けなさるな(ヂューリエット、第2幕第2場)- ラリー・ニーヴンの小説『無常の月』
マクベス
[編集]- these weird sisters
彼ノ奇(あや)シキ巫女(ふじょ)ラハ(マクベス夫人、第1幕第5場、他)- テリー・プラチェットの小説『三人の魔女(原題:Wyrd Sisters)』(「ディスクワールド」シリーズ)
- If you can look into the seeds of time
若し汝(きさまら)に、「時」の胎内にある事件の種(たね)を看破する力があって(バンクヲー、第1幕第3場)- ジョン・ウィンダムの短編小説集『時間の種』
- The moon is down; I have not heard the clock
月は落ちましたが、時計の音は聞えませんでした(フリーアンス、第2幕第1場)- ジョン・スタインベックの小説『月は沈みぬ』
- To wear a heart so white
心臓も、貴下のやうに白(しら)ッちゃけちゃァゐませんのよ(マクベス夫人、第2幕第2場)- ハビエル・マリアスの小説『白い心臓』
- Double, double toil and trouble; Fire burn and cauldron bubble.
辛苦も勞苦も、倍増し、倍増し。くわつくわと燃えろ、ぶつ〜煮えろ。 (妖巫一同、第4幕第1場)- エラリイ・クイーンの小説『ダブル・ダブル』
- エマ・レイサンの小説『Double, Double Oil and Trouble』
- ジョン・ディクスン・カーの小説『火よ、燃えろ!』
- ブライアン・フリンの小説『And Cauldron Bubble』
- By the pricking of my thumbs
指がびくびくするとこを見ると(妖巫3、第4幕第1場)- アガサ・クリスティの小説『親指のうずき』
- Something wicked this way comes
何か不正(よくな)い者がやって来るね(妖巫2、第4幕第1場)- レイ・ブラッドベリの小説およびそれに基づいた映画『何かが道をやってくる』
- And sleep in spite of thunder.
どんな雷が鳴っても、平氣で寢てゐられるやうに。(マクベス、第4幕第1場)- ジョン・ディクスン・カーの小説『雷鳴の中でも』
- To-morrow, and to-morrow, and to-morrow
明日が来り、明日が去り、又来り、又去って(マクベス、第5幕第5場)- カート・ヴォネガットの短編小説『明日も明日もその明日も(原題:Tomorrow and Tomorrow and Tomorrow)』
- And all our yesterdays have lighted fools
The way to dusty death
総て昨日といふ日は、阿呆共が死んで土になりに行く道を照らしたのだ(マクベス、第5幕第5場)- アリステア・マクリーンの小説『歪んだサーキット(原題:The Way to Dusty Death)』
- Out, out, brief candle!
消えろ消えろ、束の間の燭火(ともしび)!(マクベス、第5幕第5場)- ロバート・フロストの詩『Out, Out–』
- オルダス・ハクスリーの短編小説集『Brief Candles』
- it is a tale
Told by an idiot, full of sound and fury,
Signifying nothing
白痴(ばか)が話す話だ、騒ぎも意気込みも甚(えら)いが、たわいもないものだ(マクベス、第5幕第5場)- ウィリアム・フォークナーの小説『響きと怒り(原題:The Sound and the Fury)』
リア王
[編集]- Child Rowland to the dark Tow'r came
暗黒城(くらやみじやう)にぞ着きにける(エドガー、第3幕第4場)- ロバート・ブラウニングの詩『童子ローランド、暗黒の塔に至る(原題:Childe Roland to the Dark Tower Came)』(『ダーク・タワー』参照)
ハムレット
[編集]- thus the glimpses of the moon
さらでも凄き月の夜半(やは)に(ハムレット、第1幕第4場)- 映画『月の囁き』(原作はイーディス・ウォートン(Edith Wharton)の同名の小説)
- エドマンド・クリスピンの小説『The Glimpses of the Moon』
- Something is rotten in the state of Denmark
何かデンマークに善くない事があるのでござらう(マーセラス、第1幕第4場)- ジャスパー・フォードの小説『Something Rotten』(「文学刑事サーズデイ・ネクスト」シリーズ)
- Murder most foul, as in the best it is
おほよそ弑逆に非道ならぬはなしとはいへども(ハムレット父王の亡霊、第1幕第5場)- 映画『ミス・マープル/最も卑劣な殺人』(原作はアガサ・クリスティ『マギンティ夫人は死んだ』)
- 他にも複数の推理小説の題名に使われている。
- Against thy mother aught: leave her to heaven
母には害を加へまいぞよ、天の捌きに打任せて(ハムレット父王の亡霊、第1幕第5場) - That one may smile, and smile, and be a villain
面に笑をたゝえながら、笑みつゝも尚かくの如き大悪事を行ふ者の世にありとは!(ハムレット、第1幕第5場)- レックス・スタウトの小説『Xと呼ばれる男』(原題:And Be a Villain)
- There are more things in heaven and earth, Horatio
Than are dreamt of in your philosophy
この天地の間にはな、所謂哲学の思も及ばぬ大事があるわい(ハムレット、第1幕第5場)- ホルヘ・ルイス・ボルヘスの短編小説『人智の思い及ばぬこと』(『砂の本』収録)
- ジョン・ブラナーの小説『More Things in Heaven』
- The time is out of joint
此世の関節が外れたわい!(ハムレット、第1幕第5場)- フィリップ・K・ディックの小説『時は乱れて』(原題:Time Out of Joint)
- in action how like an angel!
行為(おこなひ)は天使の如く(ハムレット、第2幕第2場)- マーガレット・ミラー(Margaret Millar)の小説『まるで天使のよう』
- I am but mad north-north-west
北々西だけが狂うてゐるのぢゃ(ハムレット、第2幕第2場)- 映画『北北西に進路を取れ』(原題:North by Northwest)(アルフレッド・ヒッチコック監督)
- To be, or not to be: that is the question
世に在る、世に在らぬ、それが疑問ぢゃ(ハムレット、第3幕第1場)- 映画『生きるべきか死ぬべきか』(エルンスト・ルビッチ監督)
- 映画『メル・ブルックスの大脱走』(原題:To Be or Not to Be)(メル・ブルックス製作・主演)
- カート・ヴォネガットの小説『2BR02B』
- The slings and arrows of outrageous fortune
残忍な運命の矢や石投を(ハムレット、第3幕第1場)- 映画『うるさい女たち』(原題:Outrageous Fortune)(アーサー・ヒラー監督)
- To sleep: perchance to dream
眠る! あゝ、おそらくは夢を見よう!(ハムレット、第3幕第1場)- ロバート・B・パーカーの小説『夢を見るかもしれない』
- ミュージカル『Perchance to Dream』/他
- For in that sleep of death what dreams may come
其醒めぬ眠の中に、どのような夢を見るやら?(ハムレット、第3幕第1場)- リチャード・マシスンの小説およびそれに基づいた映画『奇蹟の輝き』
- When we have shuffled off this mortal coil
此形骸の煩累(わずらひ)を悉く脱した時に(ハムレット、第3幕第1場)- オルダス・ハクスリーの短編小説集『Mortal Coils』
- The undiscover'd country from whose bourn
No traveller returns
曾て一人の旅人(りょじん)すらも帰って来ぬ国(ハムレット、第3幕第1場)- 映画『スタートレックVI 未知の世界』(原題:The Undiscovered Country)
- 西脇順三郎の詩『旅人かへらず』
- No, no, they do but jest, poison in jest; no offence i' the world
何の〜、ちッとも。ほんの戲れぢゃ、戲れに毒害するのぢゃ(ハムレット、第3幕第2場)- ジョン・ディクスン・カーの小説『毒のたわむれ』
- Very like a whale
いかさま、鯨のやうにも見えます(ポローニヤス、第3幕第2場)- オグデン・ナッシュの詩『Very Like A Whale』
- a fellow of infinite jest, of most excellent fancy
戯謔(むだぐち)にかけては真(まこと)に窮極(きはま)る所を知らぬ(ハムレット、第5幕第1場)- デヴィッド・フォスター・ウォレス の小説『Infinite Jest』
- That Rosencrantz and Guildenstern are dead
ローゼンクランツ、ギルデンスターンの両人が世に無き由(使者1、第5幕第2場)- トム・ストッパードの戯曲およびそれに基づいた映画『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』
- Of deaths put on by cunning and forced cause
余儀なき苦肉に計略(はかりごと)乃至大詰の此惨事(ホレーショー、第5幕第2場)- ルース・レンデルの小説『仕組まれた死の罠』
- the readiness is all
肝腎なのは覚悟だ(ハムレット、第5幕第2場)
オセロー
[編集]- twas strange, 'twas passing strange
実に不思議な、非常に不思議な(オセロー、第1幕第3場)- ミュージカル『パッシング・ストレンジ』
- Pride, pomp and circumstance
誉れも、飾りも、立派さも(オセロー、第3幕第3場)- ノエル・カワードの小説『Pomp and Circumstance』
- エドワード・エルガー作曲『威風堂々』
- And, O you mortal engines
おゝ、汝(きさま)、おそろしい大砲よ(オセロー、第3幕第3場) - threw a pearl away,
Richer than all his tribe; of one whose subdued eyes
其全族にも易(か)へがたい真珠を我が手で抛げ捨てましたと(オセロー、第5幕第2場)- ニコラス・モンサラット(Nicholas Monsarrat)の小説『Richer Than All His Tribe』
ジュリアス・シーザー
[編集]- Beware the ides of March
三月の十五日を御警戒(ようじん)なさい(一予言者、第1幕第2場、他) - And therefore think him as a serpent's egg
すなはち、彼れは毒蛇の卵である(ブルータス、第2幕第1場)- 映画『蛇の卵(原題:The Serpent's Egg)』(イングマール・ベルイマン監督)
- Cry "Havoc!" and let slip the dogs of war
「かゝれかゝれ!」と号令を下して、彼(か)の兵(いくさ)の三疋犬(びきいぬ)を放つであらう(アントーニヤス、第3幕第1場)- フレデリック・フォーサイスの小説およびそれに基づいた映画『戦争の犬たち』
- ピンク・フロイドの楽曲『戦争の犬たち』(アルバム『鬱』収録)
- サクソンのアルバム『ドッグス・オブ・ウォー』
- The evil that men do lives after them
人の行った悪事は其死後までも残るが(アントーニヤス、第3幕第2場)- 映画『地獄で眠れ(原題:The Evil That Men Do)』(チャールズ・ブロンソン主演)
- There is a tide in the affairs of men
潮時(しおどき)は人間の行動にも有る(ブルータス、第4幕第3場)- アガサ・クリスティの小説『満潮に乗って』
アントニーとクレオパトラ
[編集]- My salad days,
When I was green in judgment
ありゃわしの、まだ分別の青かった生葉の頃ぢゃ(クレオパトラ、第1幕第5場)- ミュージカル『サラダ・デイズ』
- プロコル・ハルムの楽曲『サラダ・デイズ』(『青い影(Procol Harum)』収録)
- マイナー・スレットのEPアルバムとその中に収録されている楽曲『Salad Days』
- 猪熊しのぶの漫画『SALAD DAYS』
- Let's have one other gaudy night
もう一度花々しい一夜(ひとよ)を過さう(アントニー、第3幕第8場)- ドロシー・L・セイヤーズの小説『学寮祭の夜』
アテネのタイモン
[編集]- the moon's an arrant thief,
And her pale fire she snatches from the sun
月も甚だしい盗賊だ。あの青白い火は太陽のを引ッたくったのだ(タイモン、第4幕第3場)- ウラジーミル・ナボコフの小説『青白い炎』
夏の夜の夢
[編集]- Ill met by moonlight, proud Titania
尊大家(けんしきや)さん、わるい処で逢ったねえ月夜に(オービロン、第2幕第1場)- 映画『将軍月光に消ゆ(原題:Ill Met by Moonlight)』(マイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガー監督)
お気に召すまま
[編集]- Under the greenwood tree
緑なす木の下(もと)に(エーミエンズ、第2幕第5場)- トーマス・ハーディの小説『緑の木陰』
- All the world's a stage
人間世界は悉く舞台です(ヂュークヰーズ、第2幕第7場)- ジェイムズ・ブリッシュの小説『And All the Stars a Stage』
ヴェニスの商人
[編集]- The quality of mercy is not strain’d
慈悲は拠ろなく施(ほどこ)すべきものではない(ポーシャ、第4幕第1場)- スティーヴ・ハーレイ&コックニー・レベルのアルバム『The Quality of Mercy』
テンペスト
[編集]- Come unto these yellow sands
来よ、此黄なる真砂(まさご)に(エーリエル、第1幕第2場)- リチャード・ダッドの絵『Come Unto These Yellow Sands』
- アンジェラ・カーターのラジオドラマ『Come Unto These Yellow Sands』
- Full fathom five thy father lies
五尋(いつひろ)深き水底(みなぞこ)に、御父上は臥したまふ(エーリエル、第1幕第2場)- シルヴィア・プラスの詩『Full Fathom Five』
- ジャクソン・ポロックの絵『Full Fathom Five』[1]
- ストーン・ローゼズの楽曲『Full Fathom Five』(『The Complete Stone Roses』収録)
- グラディス・ミッチェルのラジオドラマ『Full Fathom Five』
- But doth suffer a sea-change
Into something rich and strange
宝と化しぬ海に入(い)りて(エーリエル、第1幕第2場)- ベックのアルバム『Sea Change』
- パトリシア・A・マキリップの小説『Something Rich and Strange』
- this rough magic
此猛しい妖術(プロスペロー第5幕第1場)- メアリー・スチュアート(Mary Stewart)の小説『この荒々しい魔術』
- How beauteous mankind is! O brave new world
まァ、どんな見事な、新奇(めづら)しい世界であらう!(ミランダ、第5幕第1場)- オルダス・ハクスリーの小説『すばらしい新世界』
十二夜
[編集]- Present mirth hath present laughter
逢うた時だけ互ひの笑顔(道外方、第2幕第3場)- ノエル・カワードの戯曲『Present Laughter』
- there shall be no more cakes and ale?
菓子も酒も絶対禁制てことがあるかい?(士爵トービー・ベルシ、第2幕第3場)- サマセット・モームの小説『お菓子とビール』
- And in sad cypress let me be laid
杉の柩に埋めてくりゃれ(道外方、第2幕第4場)- アガサ・クリスティの小説『杉の柩』
冬物語
[編集]- Go,—fresh horses;—
おい、乗換の馬を!(ダイオン、第3幕第1場)- 映画『想い出のジュエル(原題:Fresh Horses))』(モリー・リングウォルド主演)
リチャード二世
[編集]- This other Eden, demi-paradise
此第二のエデンも、準天国も(ガントのヂョン、第2幕第1場)- 映画『The Demi-Paradise』(ローレンス・オリヴィエ主演)
- O! call back yesterday, bid time return
おゝ、去った時を帰らせ、きのふをお呼び戻しなされませ(ソルズバリーの伯爵、第3幕第2場)- リチャード・マシスンの小説『ある日どこかで』
ヘンリー四世 第1部
[編集]- And Time, that takes survey of all the world,/Must have a stop. O, I could prophesy
いや、其全世界の過現未を観測する「時」て奴だって、つまりは終止(おしまひ)になッちまふんだ(ヘンリー・パーシー、第5幕第4場)- オルダス・ハクスリーの小説『時は停まるにちがいない(原題:Time Must Have a Stop)』
ヘンリー四世 第2部
[編集]- We have heard the chimes at midnight, Master Shallow
お互ひに真夜中の鐘て奴を幾度も幾度も聞いたッけねえ(士爵ヂョン・フォルスタッフ、第3幕第2場)- 映画『オーソン・ウェルズのフォルスタッフ(原題:Chimes at Midnight)』(オーソン・ウェルズ監督・主演)
ヘンリー五世
[編集]- We few, we happy few, we band of brothers
われわれは、われわれ幸福な少数は、兄弟(けいてい)団とも称すべきだ(王ヘンリー五世、第4幕第3場)- スティーヴン・アンブローズの小説およびそれを基にしたテレビシリーズ『バンド・オブ・ブラザース』
リチャード三世
[編集]- the winter of our discontent
我党の陰鬱な冬(リチャード、第1幕第1場)- ジョン・スタインベックの小説『われらが不満の冬』
- where eagles dare not perch
鷲さへも棲(とま)り得ない処で(リチャード、第1幕第3場)- アリステア・マクリーンの小説およびそれに基づいた映画『荒鷲の要塞』
- A horse, a horse, my kingdom for a horse!
馬を持て、馬を! 此國(このこく)でも何でも代りに與る!(リチャード、第5幕第4場)- クレイグ・ライスの小説『わが王国は霊柩車』(原題:My Kingdom for a Hearse)
ソネット集
[編集]- Rough winds do shake the darling buds of May(第18番)
- イギリスのテレビドラマ『The Darling Buds of May』(キャサリン・ゼタ=ジョーンズの出世作)
- And summer's lease hath all too short a date(第18番)
- ジョン・モーティマー(John Mortimer)の小説『Summer's Lease』
- My mistress' eyes are nothing like the sun(第130番)
- アンソニー・バージェスの小説『その瞳は太陽に似ず』
- スティングのアルバム『ナッシング・ライク・ザ・サン』
- Bare ruin'd choirs, where late the sweet birds sang(第73番)
- ケイト・ウィルヘルムの小説『鳥の歌いまは絶え』
脚注
[編集]- ^ Full Fathom Five at WebMuseum, Paris