スピーシーズ2
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スピーシーズ2 | |
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Species II | |
監督 | ピーター・メダック |
脚本 | クリス・ブランカトー |
製作 | フランク・マンキューソ・ジュニア |
製作総指揮 | デニス・フェルドマン |
出演者 | マイケル・マドセン ナターシャ・ヘンストリッジ マーグ・ヘルゲンバーガー ミケルティ・ウィリアムソン ジョージ・ズンザ ジャスティン・ラザード |
音楽 | エドワード・シェアマー |
撮影 | マシュー・F・レオネッティ |
編集 | リチャード・ノード |
製作会社 | メトロ・ゴールドウィン・メイヤー FGMエンターテインメント |
配給 | MGM Distribution Co. UIP |
公開 | 1998年4月10日 1998年9月23日 |
上映時間 | 93分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
興行収入 | $26,817,565[1] |
前作 | スピーシーズ 種の起源 |
次作 | スピーシーズ3 禁断の種 |
『スピーシーズ2』(原題:Species II)は、1998年に公開されたアメリカ合衆国のSFホラー映画。
概要
MGM配給で大ヒットを収めた『スピーシーズ 種の起源』のフランチャイズ第2作目。前作で生き残った元・傭兵のトラブル解決屋プレスと科学者ローラが新たなエイリアンとの戦いを繰り広げる。ナターシャ・ヘンストリッジも、シルのクローンであるイヴとして前作から引き続き出演。テレビ映画の第3作『スピーシーズ3 禁断の種』でもイヴ役として特別出演している。
ストーリー
有人火星探査に挑んでいる女性飛行士アン、黒人男性デニス、そして元・フットボール界のエースにして上院議員の息子パトリック。地表に降りて掘削作業を終えたパトリックは、火星の土をサンプルとして母船に持ち帰る。サンプルから溶け出した物質によって乗組員は異星生物のDNAに侵され、その自覚がないまま彼らは地球へ帰還した。その頃、軍の研究施設内では、地球人と異星人のハイブリッド生命体“シル”の細胞から作られたクローンのイヴが、異星人への対策用として育てられていた。
地球帰還後は10日間の性行為を禁じられているにもかかわらず、好色なパトリックは早くも2人の女性相手にセックスを行なっていた。彼の射精を受けた女性は短時間で妊娠し、みるみる膨れ上がった子宮を突き破って新生児が現われる。パトリックは2人の男児を実家の小屋へと連れて行った。一方、火星から持ち帰ったサンプルを研究するオリンスキー博士は、土壌の中に妙なDNAが混ざっていることに気付くが、パトリックの血液が入った試験管が割れ、それを迎え入れるために壁を突き破った怪物の手に引きずり出され殺害された。博士の遺体を調査した結果、イヴに似た細胞を持つ異星生物が地球に入り込んだことが判明。その調査にイヴを使うよう軍の司令が降りる中、イヴを育てていたローラ博士と、彼女とは旧知の間柄の始末屋プレスは、渋々再度のエイリアン退治に駆り出される。
プレスとローラは火星調査に反対したクロムウェル博士の話を受け、飛行士らの行方を探している頃、異星人のDNAに侵されているとは知らないアンは、恋人の男性とセックスを始めようとしていた。10日間の禁欲で性欲が溜まっていたアンは、プレスたちが家に到着する前に、恋人の男を膣内で射精させてしまう。精液を注がれた数分後には子宮が膨張を始め、腹を突き破って現れたエイリアンの子は男性を殺害。現場に踏み込んだプレスは対象を駆除するが、アンは死亡した。デニスだけは何にも感染していないことが検査で判明し、プレスの捜査チームに加わる。パトリックは自分とセックスを終えた女性が、子宮が破裂した死体と化している現場を見て悲観し、ショットガンで自殺を遂げた。しかし散弾で破壊された頭部はすぐ自己修復され、これ以降のパトリックはエイリアンの意識に目覚める。
イヴはテレパシーでパトリックを探している途中、彼と精神が同調したことでパトリックからも捕捉された。プレスに一度捕まったパトリックはイヴと接触。パトリックは逃亡するが、同族の雄を見て発情したイヴも研究所を脱走し、パトリックを求めて交尾するために走り続ける。デニスがエイリアンのDNAに感染しなかったのは、彼が鎌状赤血球症のキャリアだったからと分かった。エイリアンは自分の遺伝子を守るために持病のある人間を本能的に避けているのだ。ローラはデニスの血液から対エイリアン用の薬品を生成する。
パトリックが人間の女性に産ませた子どもはすでに10数人にも昇り、小屋の中で次々と繭になっていた。小屋に到着したローラとデニスが、対エイリアン用の薬品を散布して繭の中身を処分している頃、パトリックのもとに辿りついたイヴは、異形の怪物と化した彼と遂に交尾を始めてしまう。2体が交わっている現場にやって来たローラが呼びかけると、人間の自我を取り戻したイヴは背後のパトリックを突き刺し、抗戦の果てに致命傷を負う。デニスの血液が付いたピッチフォークで刺されたパトリックは、体内に異物の遺伝子が混入したことで身体が崩れ始め、プレスたちは辛くも勝利した。
事件が終わり、イヴの身体が運び込まれた軍の搬送車には、生き残ったパトリックの子が1人乗っていた。すでにイヴはパトリックとの交尾中に射精されており、まだ絶命していなかった彼女の下腹部は急速に膨らんで行くのだった。
登場人物
- プレス・レノックス
- 演 - マイケル・マドセン
- 本作では警備会社「プレス・レノックス・セキュリティーサービス」の社長。
- 問題解決屋としての実力は健在だが、以前のニヒルな性格は鳴りを潜めている。新たなエイリアン襲撃により再度召集され、前回のトラウマが理由で一旦断ったものの、100万ドルの非課税報酬を出すというバージェスの頼みで引き受けることになった。火星の有人探査に反対していたクロムウェル博士からの聞き取りで、火星から帰還した宇宙飛行士がエイリアンのDNAに感染していることを確信。その内、デニスだけが感染していなかったことから、彼と共にパトリックの追跡に赴く。脱走したイヴを追跡する中でパトリックの居所を掴み、デニスの血液を使ってパトリックを倒した。
- イヴ
- 演 - ナターシャ・ヘンストリッジ
- ベイカー研究所で生み出された生命体であり、前作の敵・シルのクローン。
- 極悪な性格だったオリジナルとは違い、理知的な性格を持つ。対エイリアンの毒薬の精製のために不本意ながら効果を確かめる試験体になり、異性との接触が禁じられた環境下で生活をしており、シル以上の精密さを持っている。自らのテレパシー能力を使ってパトリックを追跡しようとするが、彼と繋がってしまい、生殖本能に目覚めてしまう。パトリックを求めベイカー研究所を脱走。研究員が頭の中に埋め込まれた毒入りのカプセルを作動するところを、自らの機転で作動を阻止。彼と交尾するも、ローラの呼びかけにより理性を取り戻してパトリックに奇襲するも、逆に返り討ちにされる。
- ローラ・ベイカー
- 演 - マーグ・ヘルゲンバーガー
- 本作ではベイカー研究所の所長を務めている。イブを生み出した張本人。
- 対エイリアンの毒薬精製を任されており、中盤まではイヴに対して母性的なシーンが垣間見えた。前作以上にアグレッシブな活躍を見せ、アンの腹部を突き破って産まれた子供を対エイリアン用の薬品で始末したり、パトリック撃退の糸口を作ることに成功している。その他、パトリックに襲われた際も難を逃れるなど、プレス並みの強運を発揮している。
- デニス・ギャンブル
- 演 - ミケルティ・ウィリアムソン
- 火星探査に赴いた宇宙飛行士の1人。
- 帰還の際に液状エイリアンのDNAに襲われたが、体内に鎌状赤血球を持っていたことで唯一寄生されなかった。軍に連行され血液検査を受けたことでプレスらと知り合い、彼らと共に行動をする。終盤、エイリアンとなったパトリックを襲われそうになったローラを助けるため、プレスにピッチフォークで脚を刺すよう指示した。プレスに抱えながらパトリックの末路を目に焼き付けた後、ドクターヘリに運び込まれた。
- カーター・バージェス
- 演 - ジョージ・ズンザ
- アメリカ軍の大佐。ローラのパトロン的存在。
- 対エイリアンの毒薬の軍事利用を推進する。新たなエイリアンの追跡を拒むプレスを報酬と引き換えに軍部に召集させた張本人でもある。
- セナター・ジャドソン・ロス
- 演 - ジェームズ・クロムウェル
- パトリックの父親であり、現職の上院議員。
- 息子の女癖の悪さに頭を悩ませており、次期大統領候補としてわきまえるよう注意する。火星探査後にパトリックがエイリアン化したことを知り、実家の小屋を隠れ家にしている息子のもとへ向かい、彼を助けようとする。すでにエイリアンの人格が強くなっているパトリックの触手で殺された。
- パトリック・ロス
- 演 - ジャスティン・ラザード
- 火星探査に赴いた宇宙飛行士の1人。本作における敵エイリアン。
- 元・フットボール界のエース。帰還の際にエイリアンに寄生されてしまい複数の女性たちとセックスを重ねていく中、エイリアンとしての人格が強くなって行く。ベッドで愛人の変わり果てた姿を見て、ショットガンを使って自殺を図るがすぐに復活。次々と女性を襲っては子供を産ませた。テレパシー能力を使ったイヴとシンクロしたことで彼女を求めるようになり、父を殺害した後、研究所を脱走したイヴと交尾。ローラの呼びかけにより人間の理性を取り戻したイヴに刺されたことで、彼女を致命傷を負わせるも、デニスの血液に付着したピッチフォークが刺さったことでプレスらを襲いにかかるが、デニスの血液に触れたことで自滅した。
出演者
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | ||
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ソフト版 | フジテレビ版 | |||
プレス・レノックス(警備会社社長の元問題解決屋) | マイケル・マドセン | 大塚明夫 | 菅生隆之 | |
イヴ(前作の敵・シルのクローン) | ナターシャ・ヘンストリッジ | 湯屋敦子 | 堀越真己 | |
ローラ・ベイカー(ベイカー研究所所長を務める分子生物学者) | マーグ・ヘルゲンバーガー | 佐藤しのぶ | 塩田朋子 | |
デニス・ギャンブル(火星調査に向かった宇宙飛行士) | ミケルティ・ウィリアムソン | 後藤哲夫 | 江原正士 | |
カーター・バージェス(アメリカ軍大佐) | ジョージ・ズンザ | 辻親八 | 秋元羊介 | |
セナター・ジャドソン・ロス(上院議員) | ジェームズ・クロムウェル | 岩田安生 | 山野史人 | |
パトリック・ロス | ジャスティン・ラザード | 森田順平 | 家中宏 | |
日本語版制作スタッフ | ||||
演出 | 伊達康将 | 松川陸 | ||
翻訳 | 菊地浩司(字幕) 岸田恵子(吹替) | 佐藤恵子 | ||
調整 | 松中秀紀 | 田中和成 | ||
効果 | リレーション | |||
編集 | オムニバス・ジャパン | |||
プロデューサー | 東慎一 | |||
制作 | 東北新社 ワーナー・ホーム・ビデオ | 東北新社 |
- フジテレビ版:初回放送2002年4月27日『ゴールデンシアター』
スタッフ
- 製作 - フランク・マンキューソ・ジュニア
- 監督 - ピーター・メダック
- 脚本 - クリス・ブランカトー
- 撮影 - マシュー・F・レオネッティ
- 音楽 - エドワード・シェアマー
- 配給 - メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
- 美術 - ミルジャン・クレカ・クルジャコヴィッチ
- SFX - ジョセフ・クロスバーグ
製作
MGMスタジオと『新アウターリミッツ』の企画に取り組んでいた脚本家のクリス・ブランカトーは、スタジオが『スピーシーズ』の続編に前向きなことを知った。そこで2体のハイリブッド・エイリアンが地球の女性を襲う話を提案したところ、プロデューサーのフランク・マンキューソ・ジュニアから「オリジナルをなぞった続編にならないよう、別の角度からアプローチして欲しい」と助言される。クリスはスパイ小説『影なき狙撃者』から着想を得て、“大きな使命を成し遂げた英雄が、恐ろしい物を内に秘めて帰ってくる”といった話を考案した。火星探査に降り立った宇宙飛行士が、異星人のDNAに感染して地球に帰還するという、クリスが提出したストーリーをマンキューソ・ジュニアが承認。この時点ではまだナターシャ・ヘンストリッジの復帰が決まっていなかったため、クリスは新キャラクターのイヴ役を、ヘンストリッジか、あるいは同様に美しい女優のどちらかのように脚本を書いている。前作で生き残ったプレス役のマイケル・マドセンと、ローラ博士役のマーグ・ヘルゲンバーガーは、観客を呼び戻すために必須と考えたブランカトーは、この2人を再登場させることにしたが、多忙だったフォレスト・ウィテカーの出演は望めそうもなかったため、ダンに代わる別のアフリカ系アメリカ人の新キャラクター、デニスが用意された。マンキューソ・ジュニアはホラー映画『チェンジリング』を撮ったピーター・メダックを監督に迎える[2]。脚本を読んだヘンストリッジは内容を気に入り、ピーター・メダック監督と仕事が出来ることにも前向きで、続編の出演にサインをした[3]。
今回、新たに登場するエイリアンのパトリックは、交尾形態と攻撃形態の2種がデザインされている。交尾形態は2足歩行のヒューマンタイプで[4]、攻撃形態は獰猛な四足歩行の獣タイプ。いずれも前作のシルより遥かに巨体な怪物となっている[5]:25。四つ足のクリーチャーは、前作と本作のデザイナーを務めるギーガー自身が、『エイリアン3』で考案した没デザインを発展させたものである。パトリックの股間には交尾時のイヴに挿入する巨大なペニスと、射精用の陰嚢(睾丸)が付いている[5]:29。交尾前にパトリックの頭部から髪のような触手が伸びてイヴを包み込む描写は、ギーガーのデザイン画に描かれたアイデアによるもの[4]。
評価
4月10日に全米で封切られた本作は、公開週末に『シティ・オブ・エンジェル』、『ロスト・イン・スペース』、『タイタニック』(公開17週目)に次いで第4位の740万ドルを稼いだ[6]。しかし最終的な興行収入は2千681万ドルとなり、1億1,300万ドルを稼いだ前作に遠く及ばず惨敗に終わった[1]。
レビュー集積サイトのRotten Tomatoesでは34件の批評家レビューのうち支持率は僅か9%に留まった。同サイトの総合評価は「杜撰に作られた『スピーシーズ2』は、それほど優れていたわけではない前作が設定した、かなり低いハードルすら超えていない」というものである[7]。映画評論家のジェームズ・ベラーディネリは「続編に戻って来たマイケル・マドセンとマーグ・ヘルゲンバーガーは、できる限りのことをしてギャラを掴み、逃げ出すつもりであることは明らか」と酷評しながらも「この映画には十分な血と裸とセックスがあり、退屈することはありません。10代の少年が喜びそうなZ級のエクスプロイテーション映画です」と付け加えた[8]。
出典
- ^ a b “Box Office History for Species Movies”. The Numbers. (2019年9月25日) .
- ^ 米スターログ 1998年6月号 P76-80
- ^ 米スターログ 1998年6月号 P251
- ^ a b “Origin of the Species.”. SFX. (1998年5月) .
- ^ a b “Making Species 2”. Cinefantastique. (1998年5月) .
- ^ “‘City of Angels’ Takes Wing in Heavenly Opening Weekend”. Los Angeles Times. (1998年4月13日) .
- ^ “Species II”. Rotten Tomatoes (2021年1月1日). 2024年5月3日閲覧。
- ^ “Species II”. reelviews.net (1998年). 2024年5月3日閲覧。