カレー (ギリシア神話)

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カレー古希: Καλη, Kalē, Καλλε, Callē, 「美女(Beauty)」の意)は、ギリシア神話に登場すると優雅を司る女神カリスたち(カリテス)の1柱。また別名で「カリス」(古希: Χάρις, Charis)や「カレーイス」(古希: Καλλεις, Calleis)とも呼ばれる。日本語では長母音記号を省略しカレともいう。

木星の第37衛星カレの由来である。

ヘーシオドスの挙げるアグライアーエウプロシュネータレイアの「三美神」には含まれないが、一部にはパーシテアー、カレー、エウプロシュネーの3柱を「三美神」とする説もある。

ホメーロスの長編叙事詩イーリアス』では別名「カリス」とも呼ばれ、鍛冶の神・ヘーパイストスの妻とされる[1]。普段はヘーシオドスの挙げるアグライアーと同一視された。

紀元前1世紀ニュッサ出身の修辞学者・ソーストラトス(Sostratus)によればアプロディーテーと三美神・カリスたち(その名はパーシテアー、カレー、エウプロシュネー)との間に、美しさを巡って争いが起こった。判定人を担当していた盲目予言者テイレシアースがヘーパイストスの妻・カレーを一番美しいと判定した。この結果にアプロディーテーが怒り出し、テイレシアースを老女に変身させた。その返礼にカレーがテイレシアースに美しい長髪を与えたり、クレータ島へ連れて行ったりした[2]

その名は古典ギリシア語で「美女」という意味であるため、一般的な形容としてよく使われる言葉である。

脚注[編集]

  1. ^ イーリアス』18巻382。
  2. ^ Eustath. ad Hom. k 492 p. 1665, 47(ソーストラトスの断片集)より。

参考文献[編集]

関連項目[編集]