バスク人
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Euskaldunak | |
---|---|
総人口 | |
約270万人[注釈 1](海外居住バスク人が約1500万人[注釈 2]) | |
居住地域 | |
バスク地方 | 2,589,000人 |
スペイン側(スペイン・バスク) | 2,304,000人 |
バスク自治州[1] | 2,123,000人 |
アラバ県 | 279,000人 |
ビスカヤ県 | 1,160,000人 |
ギプスコア県 | 684,000人 |
ナバラ州[2] | 560,000人 |
フランス側(フランス領バスク)[3] | 285,000人 |
ラブール | 225,000人 |
バス=ナヴァール | 40,000人 |
スール | 20,000人 |
スペイン(上記地域以外) | 4,000,000人 |
フランス(上記地域以外) | 1,000,000人 |
チリ | 160万人-450万人[4][5] [8] |
アルゼンチン | 310万人[9] [10] |
キューバ | 150万人[要出典] |
ブラジル | 800,000人 - 1,500,000人[要出典] |
メキシコ | 1,000,000人[要出典] |
コロンビア | 60,000人[11] |
アメリカ | 57,000人[要出典] |
ウルグアイ | 35,000人[要出典] |
コスタリカ | 9,800人[12] |
ベネズエラ | 5,500人[13] |
言語 | |
[要出典] | |
宗教 | |
ローマ・カトリック、無神論、不可知論 | |
関連する民族 | |
イベリア人、バスク系チリ人、バスク系アルゼンチン人、スペイン人、フランス人 |
バスク人(バスクじん、スペイン語: vascos, バスク語: euskaldunak)とは、ビスケー湾岸でピレネー山脈西端部にある、伝統的にバスク地方として知られる地域に元来居住している系統不明の民族。文脈によって、以下のどちらかを指す。
- バスク地方生まれかバスク地方在住であり、非バスク人であると自己定義していない人物。例えば、バスク人ではなくガリシア人やフランス人と自己定義している人物はバスク人とはみなされない。
- 非バスク地方生まれだが、バスク語を話すことができるか、バスク民族であると自己定義している人物。
バスク語ではEuskaldunak(エウスカルドゥナック, 「バスク語を話す人」)、スペイン語ではVasco(バスコ)、フランス語と英語ではBasque(バスク)、ガスコーニュ語とポルトガル語ではBasco(バスコ)と表記される。
説明
[編集]スペインの北東からフランス南西部のピレネー山脈周辺にかけて居住する。
古代ローマ時代にバスク人は自治を許され、中世から近世にはバスク人の王(イニゴ・アリスタ)の末裔達がイベリアの並み居る王家を継承するなど権勢を誇った。バスク人は中世より漁師として大西洋へタラ漁や捕鯨に繰り出し、大航海時代には多数の航海者やコンキスタドールを輩出し、南北アメリカ大陸に多くの移民を送り出した。
バスク人の文化は孤立しているとする先入観を持たれることが多い[14]。
スペインのバスク人居住地域は同国で最も所得水準の高い地域でもあるが、スペイン内戦で多くのバスク人民族分離主義者が共和国側についたことやフランコ政権の弾圧に抵抗していた歴史があり、中でも急進的な組織である「バスク祖国と自由(ETA)」は数々のテロ事件を起こし、かねてからスペインとその周辺、関係国の政治問題となっている。
特徴
[編集]遺伝学的特徴
[編集]2015年に発表された研究では、バスク人は、ヨーロッパに農耕をもたらした集団と先住の狩猟採集民が混合した集団を起源とし、その後周囲の集団と隔てられたことが示された[15]。また、西南ヨーロッパに農耕がもたらされた後の5500年前-3500年前の人々の古人骨から採取した遺伝子を分析したところ、バスク人に最も近縁な祖先であると判明した[16]。
バスク人のY染色体はハプログループR1bが9割の高頻度を占める[17]。非印欧系であるにも関わらず印欧系ハプログループR1bが高頻度である理由について、「印欧語を話す男系征服者集団が原住バスク人女性に多くの子を生ませたが、その子供は父親の印欧語ではなく母親のバスク語で育てられたため、父系のみR1bの印欧系ながら、言語はバスク語を保った」という仮説がある[18]。(ただし、バスク人は小サイズ集団のため遺伝的浮動を経ており、高頻度のR1bは瓶首効果による可能性もある。)ハプログループR1b(S116)は青銅器時代にバスク地方にもたらされたとされる[19]。
またバスク人は表現型で最大35%、遺伝型で60%がRh-型の血液である[20]。
形質人類学的特徴
[編集]人類学的には、バスク人は「鼻の長い中頭、額はこめかみの部分が広く下あごに向かって狭くなる(少し長めの逆二等辺三角形)」とされる[14]。
著名なバスク人
[編集]ヨーロッパ
[編集]スペイン
[編集]- ロペ・アギーレ[21][22] : コンキスタドール。
- フアン・セバスティアン・エルカーノ[22] : 大航海時代の探検家。
- ミゲル・レガスピ[21] : コンキスタドール。初代フィリピン総督。
- ドロレス・イバルリ[21] : 政治家。
- ホセ・エチェガライ[21] : 劇作家。ノーベル文学賞受賞。
- ミゲル・デ・ウナムーノ[21] : 著作家・哲学者。
- ホセ・アスルメンディ : 哲学者。
- フリオ・カロ・バローハ[21] : 民俗学者。
- ベルナルド・アチャーガ : 著作家。
- ホセバ・サリオナンディア : 著作家。
- チリャルデギ : 著作家・政治活動家。
- ファウスト・デ・エルヤル[21] : 化学者。
- セベロ・オチョア[21] : 化学者。ノーベル生理学・医学賞受賞。
- サンティアゴ・ラモン・イ・カハール : 医学者。ノーベル生理学・医学賞受賞。
- イグナチオ・デ・ロヨラ : イエズス会の創立者。聖人。
- フランシスコ・ザビエル : イエズス会の宣教師。聖人。
- ソーヴール・カンドウ : 宣教師・神父。
- ホアン・クリソストモ・アリアーガ[21] : 作曲家。
- パブロ・デ・サラサーテ[21] : 作曲家・ヴァイオリン奏者。
- ミケル・ラボア : シンガーソングライター。
- エドゥアルド・チリーダ : 彫刻家。
- ホルヘ・オテイサ : 彫刻家。
- ネストル・バステレチェア : 彫刻家。
- ガイスカ・メンディエタ : サッカー選手。
- シャビ・アロンソ : サッカー選手、指導者。
- ミケル・アルテタ : サッカー選手、指導者
- ミゲル・インドゥライン : 自転車競技選手。
- クリストバル・バレンシアガ[21] : ファッションデザイナー。
- フリオ・メデム : 映画監督。
- ラファエル・モネオ : 建築家。
フランス
[編集]- エティエンヌ・ド・シルエット[21] : 貴族。財務総監。
- モーリス・ラヴェル[21] : 作曲家。
- エドゥアール・ラロ : 作曲家・ヴィオラ奏者。
- ラベック姉妹 : ピアニスト、ピアノ・デュオ奏者。
- ルイ・ジャック・マンデ・ダゲール[21] : 画家・写真家。
- ルイス・フェルナンデス : サッカー選手。
- ディディエ・デシャン : サッカー選手。
- ビセンテ・リザラズ : サッカー選手。
- イマノル・アリノルドキ : ラグビー選手。
アメリカ大陸
[編集]ベネズエラ
[編集]アルゼンチン
[編集]- フアン・デ・ガライ[21] : 統治者。ブエノスアイレスの再建者。
- イポリト・イリゴージェン : 政治家。アルゼンチン大統領。
- チェ・ゲバラ[21] : 革命家。キューバ革命に携わった。
- エバ・ペロン[21] : 女優・フアン・ペロンアルゼンチン大統領夫人。
- マクシマ・ソレギエタ : ウィレム・アレクサンダーオランダ国王妃。
- ゴンサロ・イグアイン : サッカー選手。
チリ
[編集]- サルバドール・アジェンデ[21] : 第29代チリ大統領(1970-1973)
- アウグスト・ピノチェト[21] : 第30代チリ大統領(1974-1990)
- ガブリエラ・ミストラル : 詩人。ノーベル文学賞受賞。
- パブロ・ネルーダ[21] : 詩人。ノーベル文学賞受賞。
アメリカ合衆国
[編集]- ベニー・ユキーデ : 格闘家、アクション俳優、米国人
- フアン・カルロス・ペレス : ミュージシャン。バスク語で歌うロック・バンド Itoiz で活動。
メキシコ
[編集]- フェリックス・マリア・スロアガ[21] : 軍人・政治家。メキシコ暫定大統領。
- ハビエル・アギーレ[23] : サッカー選手・サッカー指導者。
スポーツ
[編集]バスク州ビルバオに本拠地を置くサッカークラブのアスレティック・ビルバオは、独自に規定した「バスク人」のみが在籍できるという方針を100年以上にわたって維持している[24][25]。バスク州を拠点としていた自転車競技チームのエウスカルテル・エウスカディは、原則として契約する選手をバスク人に限定するという方針を持っていた。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ This assumes that all residents in the Basque Autonomous Community are of Basque ethnicity, a large percentage is not.
- ^ This assumes that all residents in Navarre are of Basque ethnicity, more than half aren't
- ^ This assumes that all residents in those French provinces are of Basque ethnicity, a large percentage is not.
- ^ Diariovasco.
- ^ entrevista al Presidente de la Cámara vasca. Archived 2009年5月11日, at the Wayback Machine.
- ^ vascos Ainara Madariaga: Autora del estudio "Imaginarios vascos desde Chile La construcción de imaginarios vascos en Chile durante el siglo XX".
- ^ Basques au Chili.
- ^ Contacto Interlingüístico e intercultural en el mundo hispano.instituto valenciano de lenguas y culturas.Universitat de València Cita: " Un 20% de la población chilena tiene su origen en el País Vasco".
- ^ Los nuevos vascos (I de II)
- ^ “アーカイブされたコピー”. 2012年1月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年12月11日閲覧。
- ^ "Vascos en Colombia"
- ^ Ethnic groups - Costa Rica
- ^ Ethnic groups - Venezuela
- ^ a b 渡部哲郎『バスクとバスク人』平凡社, 2004年, pp.30-31
- ^ Grant, Bob (9 September 2015). "Ancient DNA Elucidates Basque Origins". the-scientist.com. Retrieved 2 November 2016.
- ^ "Ancient DNA cracks puzzle of Basque origins". BBC News. 7 September 2015. Retrieved 2 November 2016.
- ^ Adams S, King T, Bosch E, Jobling M (2006). "The case of the unreliable SNP: recurrent back-mutation of Y-chromosomal marker P25 through gene conversion". Forensic Sci. Int. 159 (1): 14–20. doi:10.1016/j.forsciint.2005.06.003. PMID 16026953
- ^ European Prehistory, Anthropology & Genetics
- ^ Luis, J.R., Palencia-Madrid, L., Mendoza, V.C. et al. The Y chromosome of autochthonous Basque populations and the Bronze Age replacement. Sci Rep 11, 5607 (2021). https://doi.org/10.1038/s41598-021-84915-1
- ^ Touinssi, Mhammed; Chiaroni, Jacques; Degioanni, Anna; De Micco, Philippe; Dutour, Olivier; Bauduer, Frédéric (2004). “Distribution of rhesus blood group system in the French basques: a reappraisal using the allele-specific primers PCR method”. Human Heredity 58 (2): 69–72. doi:10.1159/000083027. PMID 15711086.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 萩尾生・吉田浩美『現代バスクを知るための50章』明石書店, 2012年, p.110-112(世界史の中の『バスク人』)
- ^ a b 渡部哲郎『バスクとバスク人』平凡社, 2004年, pp.78-80
- ^ ザックの後任と噂のアギーレ氏の人物像とは? “最悪監督”の悪評、TV局との黒い噂も フットボールチャンネル, 2014年4月3日
- ^ 小宮良之. “限られた人材だけで強豪チームを作るクラブマネジメント術”. ビジネスジャーナル. 2014年6月25日閲覧。
- ^ “Athletic Club”. FIFA.com. 2014年8月9日閲覧。